沖縄観光業はビジネスチャンスであふれている!その可能性に迫る

これからビジネスを始めたい人にとって、ビジネスチャンスを見出しやすい都道府県といえば、間違いなく沖縄県です。

沖縄県は、特に観光業が著しく成長しており、ビジネスチャンスがそこらじゅうに転がっています。

とはいえ、具体的にどのような可能性が期待できるのか、夏場以外のビジネスは困難ではないのかなど、気になることは多いはずです。

本稿では、 沖縄県の観光業の盛り上がりと、ビジネスへの具体的な影響と可能性について解説していきます。

沖縄観光業の隆盛

近年、沖縄県の観光業が非常に盛り上がっています。沖縄県の経済は、観光業に牽引される形で強く成長しており、このことは実際の景況感にも表れています。

2018年10月2日付の日本経済新聞の朝刊にも、以下のように掲載されています。

「日銀那覇支店が1日発表した9月の沖縄県内の短観は全産業の業況判断指数(DI)がプラス32で、前回6月調査と比べて横ばいだった。観光が好調で、2四半期連続で横ばいを維持した。プラスは30四半期連続、DIが30を超えるのは18四半期連続で、ともに過去最長を更新した。」

このように、沖縄県の観光業は絶好調なのです。

観光業のもたらす絶大な経済効果

沖縄県の経済を俯瞰すると、主に米軍基地関連収入と、観光収入の二本柱で成り立っているイメージがあるでしょう。

このイメージにたがわず、基地関連収入は大きく、米軍基地関連の収入は毎年3000億円に上ります。

最近では、 米軍基地用地に投資し、日本政府から借地料を得る「軍用地投資」も人気を集めています。

しかし 、長期にわたる持続的な成長で考えると、観光業は基地関連産業以上に大きな可能性を秘めています。

米軍が沖縄県から完全に撤退する可能性はほぼゼロと言ってよく、今後も基地関連収入はある程度の規模を持続するでしょう。

 

しかし、米軍は世界的に再編の途上にあり、沖縄県の米軍基地も徐々に縮小が進んでいます。

地元民からの反発も強く、今後米軍基地が縮小・移転することはあっても、拡大することは考えにくいです。

つまり、毎年3000億円と言われる基地関連収入が、 今後長期的に伸びていく可能性は低いと言えます。

 

これに対し、沖縄県の観光業はぐんぐん成長しており、今後も観光収入は伸びていくでしょう。

沖縄県が公表している最新の資料(平成30年9月25日公表)によると、平成29年度の観光収入は6912億円となり、基地関連収入を大きく上回っています。

なお、この6912億円という数値は、観光客の消費のうち県内観光産業に残るお金(いわば直接効果)であり、ここから派生する間接波及効果を合わせると、経済効果は1兆1700億円に上ります(観光産業と関連のある産業の売上増加(一次間接波及効果):3144億円、雇用者所得の増加による消費活動の活発化と県内産業の生産増加(二次間接波及効果):1644億円)。

さらに、 直接効果と一次・二次間接波及効果によって、14万2734人もの雇用が創出されていることからも、経済効果の大きさが分かるでしょう。

長期的に縮小していく基地関連産業と比較して、観光産業は強い成長が続いており、今後も拡大が期待されています。

基地関連産業の縮小に伴って、その縮小分が観光業に流れてくることで、観光業がさらなる拡大に向かうことも十分に考えられます。

目覚ましい観光客の増加

上記のように、経済効果を金額としてみることで、観光業の成長ぶりがよくわかると思います。

これを裏付けるデータとして、観光客数の増加も参考になります。

平成30年度の沖縄県の入域観光客数は、1000万4300人となっています。

これは、前年度比で42万4400人(率にして4.4%)の増加です。平成30年度の沖縄県の年度目標は1000万人でしたが、その目標を順調にクリアしている様子が分かります。

また、単に多くの観光客を獲得しているだけではありません。沖縄県の入域観光客数は順調に増加を続けており、平成30年時点で「6年連続の過去最高を更新」となっており、好循環が生まれていると言えます。

観光客増加の理由

観光客が順調に増加している理由は、沖縄県の観光客の属性にあります。

当然ながら、観光客は日本人観光客と外国人観光客に大別されます。それぞれの増加の背景は、以下の通りです。

日本人観光客の増加

日本人観光客の増加の背景には、為替相場の変動や航空路線の増便・新規就航があります。

まず、為替相場の影響について考えてみます。

2015年頃の円相場は1ドル=120円前後でしたが、2016年には一時1ドル=100円を下回るレベルでの円安となり、海外旅行の割安感がなくなりました。

2019年現在も1ドル=110円前後で推移しており、2015年水準を大きく下回っています。

 

海外旅行で割安感がなくなったことで、 円高の時期に海外旅行に向かっていたマネーが国内旅行に流れるようになりました

これが、日本人の国内旅行の増加、とりわけ沖縄県観光客の増加につながったと考えられています。

次に航空路線の増便・新規就航ですが、特に新石垣空港発着路線の増便、さらにLCC(ロー・コスト・キャリア、低価格を売りとする路線)の那覇空港発着路線の新規就航によって、国内観光客が増加しました。

外国人観光客の増加

一方、外国人観光客は日本人観光客とは逆に、円安に傾いたことによって、海外旅行に割安感が出たことに後押しされて増加しました。

特に増加しているのが、 アジア圏の観光客です。

沖縄県に観光に訪れるアジア圏の国(あるいは地域)は、台湾・韓国・香港・中国・タイ・シンガポールであり、平成30年度のデータは以下のようになっています。

国籍 観光客数
空路 海路 合計 シェア
台湾 675,800 241,900 917,700 38.1%
韓国 550,100 550,100 22.8%
香港 196,800 196,800 8.2%
中国 253,000 441,800 694,800 28.8%
タイ 29,200 29,200 1.2%
シンガポール 20,900 20,900 0.9%
合計 1,725,800 683,700 2,409,500 100.0%

この表から分かる通り、沖縄県に訪れるのはアジア諸国の観光客が多いです。

特に高いシェアを誇るのは台湾人観光客です。

これは、台北-那覇路線や台北-石垣路線の就航などが背景となっています。

このほか、タイからのツアーも増加していますし、上海発の中国人向けクルーズ船も人気となっており、今後もこの傾向が持続するでしょう。

 

2019年は、日韓関係の悪化によって、韓国人観光客が大幅に減少しました。

とはいえ、今後、日韓関係は徐々に改善していくと考えられており、長期的には増加していくものと思います。

以上のように、今後も国内外を問わず、沖縄県の観光客は増加していき、観光収入は伸びていくと考えられます。

観光業を後押しする3つの要素

沖縄県の観光業の好調を後押しする、3つの要素があります。それは、

  • リピート率が高い
  • リゾートウェディングの需要が高まっている
  • 夏場以外の観光需要が高まっている

ということです。

リピート率の高さ

まず、沖縄県の観光客はリピート率の高さに特徴があります。

沖縄県を訪れる観光客のうち、2回目以上のリピーターの割合は右肩上がりに増加しています。

平成25年に沖縄県が公表した「戦略的リピーター創造事業報告書」によれば、

「現在、沖縄を訪れる観光客のリピート率は約80%となっており、沖縄観光はリピーター層に支えられている状況にある。」

と報告されています。

10人のうち8人がリピーターなのです。

沖縄県に旅行に来た観光客へのアンケートを見ると、「大変満足」「やや満足」との回答が95%に上り、着実にリピーターを獲得している様子がうかがえます。

 

観光業に限らず、どのような事業にせよ、リピーターの獲得は非常に重要です。

新規顧客の開拓は、魅力を知らない層を掘り起こしていくことであり、様々な困難が伴います。

これに対し、既に魅力を知っているリピーターが多ければ、安定した収入につながります。

沖縄県観光業のリピーターは約80%であり、10人のうち8人がリピートしています。

 

新規の2人についても、その80%である1.6人がリピートするのですから、 観光客が増加を続けるのも当然です。

今後も、沖縄観光業がリピーターの安定を怠らなければ、観光客は増えていくでしょう。

この事実をみても、沖縄観光業の未来は明るいといえます。

もちろん、沖縄観光ビジネスの未来も明るいです。

リゾートウェディングの需要

単なる観光だけではなく、リゾートウェディングの需要にも注目すべきです。

近年、沖縄県で結婚式を挙げるケースが急増しています。

日本でリゾートウェディングと言えば、ハワイなどでの挙式がイメージされがちです。

しかし、 沖縄県をリゾートウェディングの地として選ぶ日本人も非常に多く、年々増加しています。

 

実際、沖縄県観光振興課の公表する、沖縄県リゾートウェディングのデータを見てみると、平成30年度には17115組が挙式しています。

平成20年度には9001組でしたから、10年間でほぼ倍増という増加ぶりです。

特に目覚ましいのは外国人カップルの増加です。平成20年度、外国人の挙式は64組にすぎませんでしたが、平成30年度には1956組となっており、30倍以上の猛烈な増加を見せています。

日本人がハワイでの挙式に憧れるのと同じように、アジア圏の人々にとって、沖縄での挙式が憧れの対象となっているのです。

 

実際に沖縄県のリゾートウェディングの実態を見ても、わざわざハワイで挙式する必要を感じないほど、リゾート感あふれる結婚式場が非常に多いです。

平成30年度、沖縄県でのリゾートウェディングに伴う来県者は24万2749人でした。これも、沖縄県の観光業の好調を強く後押しする要素と言えます。

沖縄観光ビジネスを手掛けるにあたって、リゾートウェディングと紐づけたビジネスも非常に魅力的な環境となっています。

夏場以外の観光需要

これまで、沖縄観光と言えば、夏場の観光が定番でした。観光業のピークは6~9月の夏場でしたが、最近では夏場以外の観光需要も高まっています。

特に目立つのが、 修学旅行の件数です。修学旅行先に沖縄県を選ぶ中学・高校は右肩上がりに増加しており、夏場のピークを避けるケースが増えています。

とりわけ5月、10月、11月、12月に多くなる傾向があります。

夏場以外での観光需要の増加は、最新データをみれば明らかです。

  • 平成31年4月・・・85万1400人
  • 令和元年5月・・・83万4900人
  • 令和元年6月・・・86万8200人
  • 令和元年7月・・・96万3600人
  • 令和元年8月・・・102万1200人
  • 令和元年9月・・・80万9300人
  • 令和元年10月・・・85万1300人

月別に見ると、夏場の観光客(特に夏季休暇のある8月)が最も多いですが、それ以外の時期でもおおむね80万人以上で推移していることが分かります。

特に、修学旅行生の増加は大きな可能性を秘めています。

少子化によって子供が減っている今、 修学旅行生は減少するのが普通ですが、沖縄県では修学旅行生が増えているのです。

少子化に伴い、子供1人にかける金額は増えていますから、修学旅行生の増加が観光収入に少なからず貢献していると考えられます。

 

沖縄観光ビジネスに興味があっても、夏場以外に苦戦しそうだと思っている人は多いと思います。

しかし、今や沖縄観光ビジネスは、昔のように、「夏場に一気に盛り上がり、夏場以外は閑散とする」という状況ではなくなっています。

夏場以外でも、夏場の8~9割ほど稼げる可能性が高く、ビジネスは十分に成り立つ状況です。

消費額も多い

さらに、沖縄観光客は、一人当たりの消費額が多いという特徴があります。

それも、他の都道府県に比べて「圧倒的に」多いのです。

単に観光客数が増えているだけで、消費額が小さいのであれば、観光業はそれほど潤いません。

ディズニーランドの売上にしても、入場料だけで売り上げているわけではなく、売上の半分以上はグッズ販売をはじめとするに二次消費です。

これは、特定の施設に限ったことではなく、県全体の観光業にも当てはまります。

 

もし、沖縄県に観光に来た人が、単に入域(ディズニーランドにおける”入場”に相当)して海を見るだけで帰ってしまえば、観光業が盛り上がることはありません。

その点、沖縄県の観光客の消費額が大きいことは、観光業に非常にプラスとなっている要素です。

沖縄県の文化観光スポーツ部観光政策課が公表している最新資料(令和元年10月29日公表)によると、令和元年度第1四半期における沖縄県の観光消費額は1765億円となっており、過去の同時期と比較して最高額を記録(前年同期比で13.0%の増加)しています。

ちなみに、 日本人観光客の一人当たり消費額は7万4702円、外国人観光客は9万7160円であり、 全国の都道府県でトップクラスの消費額です。

沖縄観光ビジネスにチャンスあり!

他の都道府県よりも消費額が多い背景には、沖縄県の地理的要因があります。

沖縄県は海に囲まれており、日帰りの観光客が少ないため、宿泊日数が長い分だけ消費額も多くなっているのです。

それだけではなく、沖縄観光は他の都道府県とは異なり、ツアー型の観光比率が低いことも特徴です。スケジュールが決まっていなければ、観光客はレンタカーを借り、自由に観光地を巡ることになります。

ここに、沖縄観光ビジネスの魅力があります。

 

ツアー型の観光が盛んな地域で観光ビジネスを手掛けることは、容易ではありません。

定番の観光地がツアーに組み込まれるため、定番のエリアでビジネスを展開すればビジネスチャンスにも恵まれますが、そのようなエリアでは既存の業者が深く根を下ろしており、新規参入は困難です。

しかし、 沖縄では、観光客の多くが自由に観光地を巡ります

観光客は、自由に巡る中でお土産を買ったり、食事をしたり、レジャーを楽しんだり、様々な消費を行ないます。

つまり、沖縄観光ビジネスは、他の都道府県よりも消費額が多いだけではなく、その消費が観光地に広く分散するため、様々な地域にビジネスチャンスが転がっているのです。

新規事業も成り立ちやすい

さらに、新規の事業が成り立ちやすいことも魅力です。

他の都道府県でも、起業する人の意欲やアイデア次第では、どのようなビジネスにも挑戦できますが、事業として成り立つかどうかは別問題です。

例えば、 飲食店を開きたいと考えたとき、東京都内で開業するのと、沖縄県内で開業するのとでは、成功する可能性はどちらが大きいでしょうか

言うまでもなく、答えは沖縄県です。その理由は、以下のように複数の観点から明らかです。

賃料が安い

まず、東京都内で飲食店を始めようと思えば、家賃の高さが大きな障害になります。

成功のためには店舗の立地条件が重要となりますが、条件の良いエリアであれば、狭い店舗でも月に数十万円の家賃を要するのが普通です。駐車場の確保まで考慮すれば、好立地の物件を見つけることさえ簡単ではないでしょう。

一方、沖縄県ではそのような苦労が少ないです。

最近でこそ、観光業の隆盛により、居住用物件でも店舗用物件でも賃料が上昇傾向にありますが、それでもまだまだ安いレベルです。

広さや立地などが同じレベルの物件を比較すると、 東京都内では月額家賃数十万円を要する物件が、沖縄県内では数万円で借りられるケースがいくらでもあります。

駐車場付き、店舗兼自宅の物件でも、月に10万円も出せば容易に見つかるのです。

工夫しやすい

また、賃料が安いだけではなく、立地条件もそれほど厳しくなく、工夫次第で好立地を見出すことができます。

都会であれば、駅から近い、大型商業施設内に出店するなど、できるだけ人の集まりやすい立地が欠かせません。

店舗が大通りに面しているか、裏路地にあるかによって、売上には雲泥の差が生じるのが普通です。

沖縄でも、人の集まるエリアに出店することは重要です。

しかし、人の集まるエリアといっても、都会とは随分異なります。

観光客をターゲットとすることで、都会よりも随分条件は緩くなります。

駅や空港などから遠くとも、例えば海や森が近い立地を魅力として集客していくことは十分に可能です。

このように、都会であれば弱みとなる立地でも、沖縄県では工夫次第で強みになり得るのです。

激しい競争に巻き込まれにくい

さらに、都会の飲食店は忙しいビジネスマンなどもターゲットとしていますが、沖縄県民は一般にのんびりしており、観光客も主要ターゲットになりうるため、激しい競争に巻き込まれにくいです。

つまり、都会では経費が高い上に競争も激しいのに対し、 沖縄県では経費が安く競争も激しくないのです。

少ない資本で着実に稼げるチャンスがあるのですから、新規のビジネスにはまことに好条件であり、まさにブルーオーシャンと言って良いでしょう。

まとめ

本稿で解説した通り、沖縄県の観光業は加速度的に成長しており、観光収入は伸び続けています。

さらに、リゾートウェディングや夏場以外の観光需要が高まっており、従来では考えられなかったところでもビジネスチャンスが広がっています。

これからビジネスを始めたい人にとって、沖縄県でのビジネス展開、とりわけ観光ビジネスは非常に魅力的です。

少なくとも、レッドオーシャンである都会でビジネスを始め、激しい競争に勝ち抜いていくよりも、ブルーオーシャンである沖縄県でビジネスを始めるほうが、成功の可能性はずっと高いでしょう。

最初のコメントをしよう

必須