沖縄の賃貸物件で人気の設備は?沖縄ならではのニーズを投資に活かそう
沖縄県は、文化や伝統はもちろんのこと、気候などについても、他の都道府県とは大きく異なる特徴があります。
他の都道府県の常識が沖縄では非常識、逆に沖縄の常識が他の都道府県では非常識ということが多々あります。
だからこそ、沖縄不動産投資で成功するためには、 沖縄の特殊な事情をしっかりと知っておくことが重要です。
沖縄県は、不動産投資にとって非常に良い環境にあります。
しかし、そのような成果は全て、 「沖縄県の常識を知り、危なげなく投資できること」が前提となっています。
そこで本稿では、 不動産投資で利益を得るために、沖縄の特殊な事情を踏まえた人気の設備について解説していきます。
目次
沖縄県の人気設備は?
不動産投資で、購入する物件を検討する際には、その物件の設備をしっかりとチェックする必要があります。
皆さんも、毎月家賃を支払って賃貸物件に住むならば、より便利で快適に過ごせるよう、設備をチェックすると思います。
不動産投資で安定した収益を得るためには、 入居者目線で設備をチェックしていくことが重要です。
沖縄県でニーズの高い設備や、その設備のニーズが高い理由を理解しておき、ニーズにマッチする設備を備えている物件に投資することができれば、投資効率は間違いなく高まるでしょう。
おきぎん経済研究所の調査結果によれば、沖縄家の賃貸物件における人気の設備は、以下のようになっています。
2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 合計 | |
バス・トイレ別 | 21 | 21 | 21 | 20 | 16 | 99 |
エアコン | 16 | 21 | 15 | 19 | 12 | 83 |
駐車場2台 | 16 | 19 | 17 | 14 | 13 | 79 |
室内洗濯機 | 8 | 21 | 19 | 16 | 11 | 75 |
インターネット設備 | 14 | 14 | 18 | 17 | 11 | 74 |
駐車場1台 | 8 | 10 | 12 | 15 | 7 | 52 |
ペット可 | 12 | 8 | 9 | 11 | 7 | 47 |
オートロック | 3 | 8 | 7 | 8 | 4 | 30 |
エレベーター | 5 | 6 | 4 | 5 | 1 | 21 |
収納 | 0 | 0 | 7 | 5 | 2 | 14 |
ガス乾燥機 | 0 | 0 | 3 | 4 | 2 | 9 |
宅配ボックス | 0 | 0 | 0 | 0 | 5 | 5 |
モニター付きインターホン | 1 | 3 | 0 | 0 | 0 | 4 |
浴槽 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 |
浴室乾燥機 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 |
温水洗浄便座 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
システムキッチン | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
網戸 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 |
個室 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 |
これをグラフ化してみると、それぞれの設備のニーズの強弱がよくわかると思います。
一方、SUUMOのある調査では、日本全国の不動産を対象とした場合の人気設備ランキングは、以下のようになっています。
第1位 | バス・トイレ別 |
第2位 | エアコン |
第3位 | 収納スペースが多い |
第4位 | 耐震構造 |
第5位 | 2階以上 |
第6位 | 独立洗面台 |
第7位 | 鉄筋構造 |
第8位 | 2口以上のガスコンロ |
第9位 | 光ファイバー |
第10位 | 追い炊き機能 |
第11位 | ディンプルキー |
第12位 | TVモニター付きインターホン |
第13位 | 宅配ボックス |
第14位 | 浴室乾燥機 |
第15位 | オートロック |
第16位 | 洗浄器付きトイレ |
第17位 | 防犯カメラ |
なお、ここで挙げられている人気設備は、「それがあることによって競争力が高まる設備」であると同時に、「それがあることによって競争力が維持される設備(なければ著しく競争力が低下する設備)」でもあります。
したがって、「あって当たり前の設備」も多数含まれていますが、 それを備えていない物件は、 購入後の設備投資が必要になることも想定し、収支シミュレーションをしてみる必要があるでしょう。
沖縄県で人気の設備と、全国で人気の設備の違いも踏まえて考えていくと、沖縄の特殊な環境や事情も分かりやすく、不動産投資の参考になります。
バス・トイレ別(築浅物件ではバス・トイレ別が主流)
沖縄県に限らず、バス・トイレ別のニーズは高いです。
沖縄県では、2013年の調査開始から2017年の最新データまで、バス・トイレ別が最も高い人気を維持しています。
沖縄県では、 特に那覇市などの賃貸物件が非常に高い稼働率となっています。 そのようなエリアでは、ユニットバスでも入居者を確保することは、それほど困難ではないと思います。
しかし、バス・トイレ別のニーズの高さから考えて、ユニットバスの物件は相対的に競争力が低くなることは否めません。
したがって、投資するならばバス・トイレ別の物件のほうがより良いと考えるべきです。
近年の沖縄県では、賃貸需要の増加によって新築された物件も多いです。
特に、那覇新都心をはじめとした開発エリアや、ゆいレール延伸に伴って需要が高まっているエリアでは、新築物件・築浅物件の比率が高くなっています。
新築・築浅物件では、バス・トイレ別が当たり前となっていますから、そのようなエリアで中古物件への投資を考えるならば、 競争力を維持するためにも、バス・トイレ別の物件を選ぶことが重要です。
エアコン(暖房機能がないエアコンに注意)
最近では、エアコンを設置していない物件はほとんどないでしょう。
全国的に見ても、エアコンは標準設備であり、年間を通して気温が高い沖縄県では、エアコンの重要性は特に高いといえます。
沖縄で注意しておきたいのは、 エアコンの機能性です。
というのも、沖縄不動産で設置されているエアコンは、冷房や除湿といった機能だけが備えられており、 暖房機能がないエアコンもあるからです。
年間を通じて暖かい沖縄では、暖房機能を必須とは考えず、冷房機能のみの廉価なエアコンを提供しているメーカーもあるのでしょう。
筆者も、本州から沖縄県に移住した人から、 「冬、少し寒かったからエアコンをつけようとしたところ、冷房機能しかないことが分かった」という話を聞いたことがあります。
県外から沖縄不動産投資を考えている人は、沖縄の温暖なイメージから、暖房機能のないエアコンでも問題ないと考えるかもしれません
確かに、沖縄の平均気温は高いですが、常夏の国ではありませんし、冬には冷え込むこともあります。
したがって、 暖房機能付きのエアコンがある物件に投資することが大切です。
駐車場(駐車場は必須の沖縄)
駐車場は、全国データでは人気設備に挙げられていません。
首都圏・大都市圏では、交通網が発達していることから、それほど駐車場のニーズは高くありませんし、車の重要性が高い地方都市でも、単身者世帯では駐車場を必須設備とは考えず、近所の月極駐車場を使えばよいとする人も多いです。
もちろん、全国のどのエリアでも駐車場付きの物件は魅力的ですし、それによって競争力が高まることもあるでしょう。
しかし、駐車場がないことによって、競争力が大きく低下するとも言いきれず、駐車場に充てる土地に費用を投じるよりも、 駐車場なしの物件に投資したほうが、利回りが高くなることもよくあります。
しかし、沖縄県は駐車場のニーズが極めて高くなっています。
1戸あたり2台分の駐車場が欲しいという意見が79件、1戸あたり1台分の駐車場が欲しいという意見が52件、 駐車場へのニーズ全体で考えれば バス・トイレ別を超えるほどです。
沖縄には鉄道路線がありませんし、渋滞が深刻な問題となっていることからバスもあまり頼りになりません。
したがって、自分の車を交通手段にしている人が非常に多く、 単身者世帯でも車を持っているのが普通なのです。
実際、沖縄県の駐車場設置率は非常に高く、世帯当たりの自動車普及台数も高いです。さらに、自動車普及率を駐車場設置率が大幅に上回っています。
順位 | 都道府県 | 駐車場設置率(%) | 自動車普及台数(台/世帯) |
1位 | 沖縄県 | 136.6 | 1.275 |
2位 | 山口県 | 123.5 | 1.227 |
3位 | 鳥取県 | 120.0 | 1.444 |
4位 | 島根県 | 118.0 | 1.397 |
5位 | 大分県 | 115.4 | 1.277 |
この表からも、沖縄における駐車場の重要性が、よくわかると思います。
沖縄県の不動産を選ぶならば、 1戸当たり1台の駐車場は必須と言えるでしょう。
戸数あたりの駐車場の台数はエリアで変わる
駐車場を何台分確保すべきかの目安は、地域によって異なります。
駐車場ゼロで良い地域
まず、那覇新都心などの発展が目覚ましいエリアでは、駐車場ゼロで成り立つ場合もあります。
というのも、このエリアでは地価の上昇が目覚ましく、土地の有効活用が重要課題となるため、 駐車場なしの物件が新築されることも多いからです。
また、このようなエリアでは、ゆいレールの駅からも近いため、車なしで生活する人の割合が高くなり、駐車場ゼロの物件でも不動産投資が成り立ちます。
駐車場1台分は必要になる地域
那覇新都心と那覇市南部を除く那覇市では、駐車場1台でも成り立つケースが多いです。
というよりも、 1台分の駐車場を確保できるかどうかによって、入居判断が大きく変わってくると言えるでしょう。
少なくとも1戸につき1台分と考えて、物件を選ぶべきです。
駐車場2台分は必要になる地域
駐車場2台分が入居判断の基準になるのは、 那覇市では 南部地域、そして 那覇市以外の市町村です。
那覇市以外の市町村では、世帯当たり2台以上の車を持っていることも多く、駐車場2台分を確保できない物件では競争力が落ちてしまいます。
那覇市南部では、那覇市の他のエリアに比べて家族世帯が多いことから、駐車場の重要性が高くなっています。
最近では、 2台分の駐車場を確保できない家族世帯が、那覇市南部から豊見城市へと流出するケースも増えているため、空室リスクを抑えるためにも駐車場の重要性は高まっていると言えます。
室内洗濯機(塩害や台風の影響を考える)
全国的に、室内洗濯機置き場は人気の設備ですが、全国の人気設備ランキングではランクインしていません。
これは、洗濯機置き場が室内にあったほうがよいものの、室外にあったとしてもそれほど大きな問題にはならず、他の設備の人気には劣るということでしょう。
しかし、沖縄県では室内洗濯機置き場のニーズが非常に高く、室外にしか洗濯機を置けない物件は競争力が落ちてしまいます。
これは、 沖縄では塩害と台風の影響があるためです。
沖縄県は海に囲まれており、潮風が吹いています。県外の人にとってはあまりイメージできないことなのですが、
- 沖縄では、自動車を購入したとき、納車にあたって錆止め塗装が必須である
- 沖縄では、すぐに錆びてしまうことから自転車普及率が全国で圧倒的に低い
というように、沖縄では塩害に対処しながら生活するのが当たり前となっています。
洗濯機も同じです。洗濯機も家電ですから、外側はプラスチックであっても、内側には様々な金属が使われています。
洗濯槽が金属のものも多いです。沖縄では、洗濯機を室外に設置していると、塩害によって寿命が短くなってしまうのです。
また、台風の影響も無視できません。沖縄は、台風銀座と言われるほどに台風の多いエリアです。
さらに、沖縄の台風は勢いが衰えていないまま上陸するのですから、本州以上に強風の被害を受けやすいです。
沖縄の物件が ほとんど鉄筋コンクリート造になっているのも、台風への抵抗力を重視したことが大きな理由となっています。
このため、沖縄で室外に洗濯機を置いていると、台風の際に洗濯機が倒されて壊れてしまうことも多いのです。
室内洗濯機置き場がない物件の入居者は、台風がくると洗濯機に水を一杯入れて倒れないようにするなど、対策しなければなりません。
もちろん、台風の強風で海が荒れることから、塩害の程度も酷くなります。
したがって、沖縄不動産投資では、 室内洗濯機置き場がある物件を選ぶことが重要です。
ちなみに、筆者が沖縄在住の友人に洗濯機置き場について尋ねたところ、
「自分が物件借りるとしたら絶対に洗濯機は室内がいいね。
台風が多いのと沖縄は場所によっては塩害があるから外には置きたくないかな〜
塩害は結構あって特に車とかは下側からダメになるからアンダーコートとかやって対策する人とか多いよ
だから機械系は中に置きたいよね〜」
とのこと。沖縄不動産投資では欠かせない観点と言えそうです。
その他の設備
沖縄県ならではの理由から、特に人気の高い設備を紹介してきました。その他の設備についても、ざっと確認していきましょう。
インターネット設備
インターネット設備を重要とする声も多いですが、 これは標準的な設備です。基本的には、バス・トイレ別と同じように考えるのが良いでしょう。
インターネット設備は、特に築浅物件では標準設備となっているため、無料インターネットを導入することによって、競争力の維持に役立ちます。
ペット可
意外に多かったのが、ペット可という声です。ペット可というニーズは、他の都道府県の不動産投資と変わりません。
一部のペット愛好家からのニーズであり、 沖縄県で特別にペットの飼育率が高く、ペット可の重要性が高いということではありません。
ペット可にした場合には、退去に伴う原状回復費用が多めに必要となるため、入居時に求める敷金も通常より多くなり、これが入居率に悪影響を与える可能性があります。
また、騒音やニオイによる苦情なども発生するため、躊躇するオーナーが多いようです。
現在、沖縄の賃貸物件では、多くのエリアでかなり高い稼働率を維持しているため、 あえてペット可にする必要はあまりないと思います。
差別化を図るための設備
2017年のアンケートでは、初めて宅配ボックスを求める意見が出ています。
これは、共働き世帯の増加、通信販売の利用増などが原因ですが、 これも他の都道府県と変わらないニーズと言えます。
このように、差別化を図るための設備の人気も、徐々に高まっています。
オートロックやモニター付きインターホンなども、差別化に役立つ設備です。
沖縄県では、今後も多くのエリアで安定した賃貸需要が見込まれていますが、再開発やモノレールの延伸などに伴い、局所的に競争の高まっているエリアもあります。
そのようなエリアで投資を検討するならば、 周辺の物件との差別化につながる設備があるかどうかをチェックする必要がありそうです。
ただし、全国的には防犯意識の高まりから、オートロックや防犯カメラといった設備のニーズが高まっているのに対し、沖縄ではそれほど強いニーズが感じられません。
このようなニーズも捉えて、より重要な設備を備えた物件に投資していく姿勢が求められると思います。
まとめ
沖縄県には、他の都道府県とは異なる様々な特徴があります。
不動産投資の盛り上がりによって新築・築浅物件が増加していること、台風や塩害の対策が必要であること、車の必要性が極めて高いことなどは、沖縄不動産投資で物件を選ぶ際に、欠かせない観点となりそうです。
特に、新築・築浅物件が増加していることは、競争力の高い不動産が増加することでもあります。
中古アパートに投資するならば、できるだけ競争力が高い物件を選ぶこと、あるいは購入後の設備導入を見据えた収支計画を立ててから投資することなどが求められるでしょう。