軍用地の売買契約でチェックするのは三点の資料と日割清算だけ!

軍用地投資も、不動産投資の一種ですから、購入を検討する際には色々な調査が必要だというイメージがあるかもしれません。

様々な情報を分析し、凝ったシミュレーションをし、現地をくまなく調査した後、投資を判断するというイメージです。

しかし、軍用地投資ではこのような調査の必要がほとんどないのです。

チェックする資料もたったの三点であり、現地調査も不要です。
気を付けるべきことが限られているのです。

本稿では、軍用地の売買契約にあたってチェックすべき資料三点と、日割計算の注意点について解説していきます。

軍用地投資では細かい調査が不要

一般的な不動産投資では、購入を検討している不動産があれば、業者から物件概要書を取り寄せ、「立地・利回り・構造・築年数」などの情報を詳細に確認します。

それで問題がなければ、実際に現地周辺を調査し、物件を内覧し、念入りに検討していきます。

なぜこのように慎重に進めるのかと言えば、投資する価値があるかどうかを正確に見定めるためです。

資料による情報から収支をシミュレーションし、収益性によってふるいにかけます。

定量的な分析で投資価値があると判断したものについて実地調査を行い、定性的な分析によってもふるいにかけていくのです。

もちろん、時間と手間をかけて調査を進めた結果、最終段階で投資不可という結論に至り、 努力が無駄になってしまうこともあります。

また、このような調査は 初心者にはハードルが高いです。

定量的な分析だけであれば、エクセルシートなどを使って分析していくことで、初心者でもかなり高度な分析が可能です。

しかし定性面では、隠れた不安要素を見つけ出したり、立地条件の優劣を正確に判断したりするために、経験が求められます。

軍用地投資では、このような難しい分析は一切不要です。

これから解説する三点の資料から、物件の所在地や借地料の詳細、土地の種目、面積などについて確認するだけです。

基地内に入れないことから、現地調査の必要もありません(というより、現地調査ができません)。

確認すべき資料の点数が少なく、現地調査も不要で、 経験を問わずだれでも安全に投資することができるのです。

チェックすべきは「たった三点」の資料のみ

軍用地の購入を検討するにあたって、調査すべきことはほとんどありません。

不動産業者の情報を見ても、エリアや借地料など、ごく限られた情報しか公開されていないことも多く、それらの情報だけで投資できるほど 簡単な投資でもあると言えます。

このことから、一般の不動産投資と比較して、投資するハードルはかなり低いと言えます。

この「簡単さ、安全性」から人気の高い投資となっています。

供給と需要のバランスが一致しておらず、なかなか買えないことが難しいところです。

もっとも、 いくら簡単とはいえ、何も考えずに購入して良いわけではありません

土地を購入するのですから、契約前にチェックしておくべき資料があります。

チェックする資料は、次の三点です。

  • 土地賃借料算定調書
  • 登記簿謄本
  • 航空写真

これらは不動産業者から取り寄せることができます。

資料の見方

では、三点の資料の見方について説明していきます。

土地賃借料算定調書

この資料は、対象となる軍用地の借地料のほかに、所在地や面積、種別などについて記載している資料です。

購入契約のためにチェックしたいのは、 所在地と面積です。

土地賃借料算定調書で確認した所在地と面積を、登記簿謄本と照らし合わせていきます。

登記簿謄本

登記簿謄本とは、不動産の情報を公示するための帳簿のことで、登記所に保管されています。

公示されている情報ですから、誰でも閲覧可能です。

登記簿にもいくつかの種類があり、会社の情報を記載している登記簿は「商業登記簿」、不動産の情報を記載している登記簿は「不動産登記簿」と言います。

軍用地投資で確認するのは、 不動産登記簿です。

不動産登記簿を調べることによって、その不動産の所在地や面積、地目などの基本情報のほか、権利関係(所有権者や抵当権者など)を確認することができます。

そもそも、安全に不動産取引をするために登記簿が作られているため、 登記簿に書かれている情報は間違いない情報です。

土地賃借料算定調書で確認した所在地および面積と、登記簿謄本に記載されている所在地および面積と照らし合わせ、 両者が一致していることを確認しましょう。

資料間で面積が異なる理由

二つの資料を比較したとき、所在地が一致していないことはほとんどありませんが、まれにみられるのが面積の不一致です。

例えば、土地賃借料算定調書では80㎡となっているものの、登記簿謄本では100㎡となっているようなケースです。

なぜこのような不一致が起こるのかと言えば、それぞれの資料における 面積の意味が異なるからです。

土地賃借料算定調書で記載している面積は、「日本政府と所有者が賃貸借契約を交わしており、 借地料が発生している土地の面積」です。

これに対し、登記簿謄本に記載している面積は、「賃貸借契約の状態にかかわらず、 対象となる土地全体の面積」です。

米軍基地と民間地の境目となるエリアでは、米軍基地と民間地にまたがっている土地もあります。

このような土地が売りに出された場合、全体の一部が軍用地、残りが民間地となるため、土地賃借料算定調書と登記簿謄本で面積が異なるのです。

面積が異なる場合には、購入を見送ったほうが良いでしょう。

土地が基地と民間地にまたがっているならば、軍用地の部分に対して借地料が支払われるだけですから、 借地料の発生しない民間地も合わせて購入することによって、利回りは低下してしまいます。

航空写真

三点目の航空写真は、 上空から土地の形状や位置を確認するためのものです。

土地が基地と民間地にまたがっているならば、航空写真からもそのことが見て取れるでしょう。

また、軍用地は現地に立ち入って調査できないからこそ、航空写真の情報が重要です。

航空写真を見たとき、例えばその土地の形状が悪く、万が一返還された場合に区画整理に手間取りそうであれば、 購入を見送るという判断もあり得るわけです。

以上のように、土地賃借料算定調書、登記簿謄本、航空写真の三点の見方からも、軍用地投資で確認すべき情報は非常に少なく、見方も非常に簡単であることが分かります。

普通の不動産投資と比較すれば、異常なほど簡単なのです。

日割清算も必ずチェックを!

三点の資料をチェックすることに加えて、契約時に必ずチェックすべき項目があります。

それは、軍用地の購入価格以外に必要となる諸経費についてであり、特に 借地料の日割清算をチェックすることが重要です。

不動産を購入する際には、固定資産税、登録免許税、仲介手数料、司法書士への手数料など、色々な経費が必要となります。

これは、購入価格の7%程度を見積もっておくのが普通です。

賃貸物件では、賃料の日割清算も必要となります。

すでに入居者のいる物件を購入するオーナーチェンジの場合、物件の引き渡しの前日までに発生している賃料を清算します。

例えば、月(30日間)の賃料9万円の物件であれば、1日あたりで日割した賃料は3000円です。

引き渡しの前日でちょうど15日が経過している場合、買主は売主に対して15日分相当の45000円を清算するのです。

 

軍用地投資でも、このような日割清算を行うため、契約の際には必ずこれをチェックすべきです。

軍用地の借地料は、1年に1回、8月のお盆の時期に振り込みによって支払われます。

軍用地の賃借契約期間は会計年度に準じており、4月1日から翌年の3月31日までを契約期間として、この期間分の借地料を8月に一括払いするのです。

ですから、軍用地を購入する際には、借地料を日割清算します。

年間の借地料が36万5000円の軍用地では、日割した場合の借地料は1000円です。

そのため、引き渡し前日までに、契約開始日の4月1日から100日が経過していたとすれば、100日分にあたる借地料10万円を清算する必要があります。

日割清算をきちんとすることは、購入時期が借地料の支払い以前ならば売主のため、 借地料の支払い以降ならば自分のためです。

借地料が支払われる前の時期に軍用地を売買した場合、日割清算をしなければ、売主は引き渡し前日までの借地料を損してしまいます。

逆に、借地料が支払われた後、つまり売主が借地料を受け取った後に軍用地を売買した場合、日割清算をしなければ、 買主はその年の引き渡し日以降の借地料を損することになります。

したがって、軍用地を売買する際には、借地料の日割清算についてよく確認すべきです。

不動産業者の中には、軍用地投資に関する知識があまり広まっていないのをいいことに、日割清算の話を持ち出さず、買主に損をさせる場合があると聞きます。

そうならないためにも、日割清算について不動産業者に聞いてみて、きちんと日割清算をするか、それができなければ本来自分が受け取るべき日割の借地料分の値引きを交渉すべきです。

まとめ

軍用地を購入するとき、チェックすべき資料は土地賃借料算定調書、登記簿謄本、航空写真のたった三点です。

その見方も所在地や面積の一致を確認し、地形などを確認するだけです。

普通の不動産投資に比べれば、調査すべき情報がかなり少なく、簡単な投資であることが分かります。

これに加えて、売買契約の際には日割清算についてもチェックするべきです。

これによって、日割分の借地料を損しないようにしましょう。

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