軍用地の売買情報はわかりにくい?でも大丈夫、計算も簡単です

軍用地投資に興味を持ち、物件情報を探してみると、違和感を覚える人が多いはずです。

なぜならば、土地への投資でありながら、掲載されている情報が非常に少なく、 一般的な感覚では とても手を出せないような印象を受けるからです。

しかしこれは、軍用地という土地の特殊な性質によるものです。

軍用地は、少ない情報だけで取引可能であり、またそうする以外に仕方ない事情があるのです。

本稿では、 軍用地の売買情報の考え方と、 限られた情報から購入を検討する方法について解説していきます。

軍用地の売買情報は少ないのが普通

当サイトでは、軍用地を購入することによって、空室や滞納のリスクなく、日本政府から半永久的に借地料をもらい続ける軍用地投資について解説しています。

  • リスクが日本国債と同じくらい低い
  • なおかつ年利2~3%程度での運用が可能であること
  • 借地料は年々高まっていくこと
  • さらに安いものは数百万円、多くは1000万円台で購入できること

などから、 投資してみたいと考えている人は多いと思います。

実際に軍用地の売買情報を検索してみると、沖縄県内の不動産業者のウェブサイトなどに情報が掲載されています。

もっとも、需要に対しての供給量が非常に少ないことから、たくさんの情報は見つかりません。

また、軍用地の地主は、戦後に米軍から土地を接収されたものの、図らずして安定収入を得るに至ったため、地元の人々からねたまれるなど、複雑な事情もあります。

そのため、 情報を公開せずにこっそり売りたいと考える地主も多いため、これも売買情報が少ない原因となっています。

一般の不動産投資の選定とは違う

軍用地投資は不動産投資の一種ですが、投資物件の選定は、一般の不動産投資とはかなり勝手が違います。

一般的な物件の選定

不動産投資では、物件の選定が命です

使い勝手の悪い土地や、マンションを新築しても入居者が集まらない土地は、購入しても損をする可能性が高いです。

極端に言えば、山奥の安い土地を買ったところで、どう使うこともできず、固定資産税を支払い続けて万年赤字になるでしょう。

収益物件も同じで、借り手の見つからない物件を購入してしまえば、 購入時点で失敗の可能性がかなり高くなってしまいます。

つまり、 不動産投資の成否は立地の良しあしに大きく依存するのです。

購入時点で、成功と失敗が8割方決まってしまうと主張する投資家もいるほどです。

そのため、土地や建物の売買に関する広告には、所在地や面積、都市計画制限、接道状況、権利関係など、一通りの情報が記載されています。

それを適切に分析することによって、買うべき物件かどうかを簡易的に判断することができます。

これらの情報によって、投資すべきではないとわかれば、そのような物件には手を出すべきではありません。

投資しても良いかもしれないと判断すれば、図面を見たり、現地に行って目で確認したりします。

このように、 一般の不動産では、様々な情報を分析した後、現地での確認も行い、かなり慎重に判断を進めていくのです

軍用地の選定

軍用地投資も土地への投資ですが、このような判断はしません。

軍用地の売買情報を見てみると、エリアと借地料くらいしか書かれていないことも多いです。

ネットの売買情報でも、売値・エリア・借地料・面積などに限定した記載が一般的です。

また、一般の不動産は複数の写真なども同時に掲載していることが多いのに対し、軍用地は航空写真1枚だけということも多いです。

実際、購入を検討するために不動産業者から資料を取り寄せても、

  • 航空写真
  • 土地の所在地を記載した全部事項証明書(登記簿)
  • 公図
  • 軍用地料の明細書

くらいしかもらえません。

つまり、一般の不動産投資に比べてかなり情報が少ないのです。

様々な情報から詳細に分析することができず、怖くて手を出せないと思う人も多いでしょう。

特に、不動産投資では、物件のイメージを写真から把握するのが普通であり、現地調査ができないことは考えられません。

しかし、軍用地は現地確認が不要、というよりも 不可能です。

なぜならば、購入対象の軍用地は基地であり、フェンスで囲まれているため、現地に行ったところで確認は不可能だからです。

また、基地内に入れる機会があったとしても、複数の所有者の軍用地をまとめて基地化しているのですから、その中で自分の検討している土地がどこにあるのか、正確に把握することは不可能です。

このため、 軍用地は情報が限られているほか、現地調査が不可能・不要であり、一般の不動産投資とはかなり異なると言えます。

エリアによって計算が異なる

しかし、軍用地の広告はこれで良いのです。

なぜならば、軍用地の価格を決めるのは、エリアと借地料だからです。

普通の投資を基準に考えると、よくわからない考え方でしょう。

実際、普通の土地の販売価格は、坪単価と面積を掛けることで計算されます。

しかし軍用地では、エリアごとに大体の倍率が決まっており、 借地料とその倍率を掛けたものを販売価格とするのです。

販売価格の具体例

例えば、軍用地の売出情報が地元の新聞などに掲載される際には、以下のように書かれているのが普通です。

嘉手納飛行場

  • 滑走路横
  • 年地(年間の借地料・軍用地料)50万円

非常に簡易的な記載になっており、これでは販売価格は分かりません。

この例では、借地料50万円に対して、嘉手納飛行場の軍用地の平均的な倍率を掛けることで、だいたいの販売価格を算出します。

エリアごとの倍率は、以下のように決められています。

エリア 倍率
牧港補給基地 60倍
航空自衛隊那覇基地 52倍
嘉手納飛行場 48~50倍
ホワイトビーチ 45~46倍
奥間レストセンター 45~46倍
伊江島飛行場 45~46倍
キャンプ瑞慶覧 42~46倍
嘉手納弾薬庫 43~45倍
キャンプシュワブ 43~45倍
普天間飛行場 41~45倍
キャンプコートニー 43~44倍
陸上自衛隊勝連分屯基地 43~44倍
キャンプハンセン 42~43倍

この表によれば、嘉手納飛行場の倍率は48~50倍となっています。

つまり、借地料50万円のこの軍用地は、

50万円×48=2400万円/50万円×50=2500万円

となり、2400~2500万円の価格で購入できると考えられます。

年間の利回りは2.0~2.1%程度です。

皆さんも、軍用地投資を始めるために物件情報を集める際には、エリアと借地料だけが記載されている情報をたくさん目にすると思います。

購入価格の目安を知るためには、上記の倍率と借地料を掛け合わせて「ああ、だいたいこれくらいか」と判断していくことになります。

一般的な不動産投資に比べて、投資対象の分析に必要な知識や経験、手間などが少ないため、 初心者にも分かりやすいでしょう。

エリアによって倍率が異なる理由

なお、同じ軍用地でも、エリアによって倍率が異なり、販売価格や利回りが異なることに、違和感を覚える人もいるでしょう。

どの軍用地も、軍に提供されているという意味では同じなのですから、どれも同じくらいの倍率・利回りになってもよさそうなものです。

それでも倍率が異なるのは、 エリアによって人気が異なるためです。

返還の可能性

軍用地の唯一のリスクは、沖縄から米軍が完全に撤退したり、自分の所有するエリアが返還されたりすることによって、借地料が得られなくなることです。

世界情勢から考えて、米軍にとって沖縄は地政学的に非常に重要な土地であることから、米軍の完全撤退はほぼ考えられません。

部分的に変換されることはありますが、これも過去10年間で全体の約2.5%にすぎないため、返還が大きく進む可能性は極めて低いでしょう。

それでも、唯一のリスクを無視するわけにはいかないため、返還の可能性がある軍用地は人気が低く、 返還の可能性がない軍用地は人気が高い傾向があります。

人気が高ければ販売価格も高くなるため、 返還の可能性がないエリアほど倍率が高く設定されているのです。

開発の可能性

また、返還の可能性があるエリアでも、返還後の開発によって地価の上昇が見込まれる土地は高値で取引されます。

牧港補給基地は、返還予定地であるにもかかわらず60倍の最高倍率となっています。

これも、 返還後の開発と地価の上昇が期待されているためです。

これらの数値は、単に計算のための倍率としてみるだけではなく、軍用地投資の人気の高さと考えるべきでしょう。

例えば、嘉手納飛行場は借地料の48~50倍の価格で取引されています。

つまり、年間借地料の50倍のお金を出しても買いたい人がたくさんいるということです。

年間借地料の50倍の価格で購入すれば、単純に考えて、元を取るには50年もかかります。

それでも、借地料という定期収入を期待して、あるいは相続税対策のために、投資を考える人は非常に多いのです。

相場の倍率ではないことも

ネットに公開されている情報は、もう少し具体的に記載されており、例えば以下のような物件を見つけることができます。

嘉手納飛行場

  • 価格: 1300万円
  • 倍率: 58.0倍
  • 年間借地料: 22.5万円
  • 土地面積: 141㎡

これは、筆者が執筆時にたまたま見つけたものですが、嘉手納飛行場の軍用地の相場である48~50倍の範囲を大幅に超過し、58倍の倍率で売られています。

この物件であれば、利回りは1.73%程度となり、平均的な利回りの相場よりも低くなってしまいます。

この理由は、正確には分かりませんが、軍用地投資の人気が高まっていることから、利回りの低い軍用地が売れ残っているのかもしれません。

軍用地に投資するとき、利回りは重要な指標となります。

下手に投資するよりも、平均的な相場の物件が売りに出されるまで待っておくのも戦略です。

しかし、利回りが平均より低い場合にも、相応の理由があるのかもしれません。

不動産業者に問い合わせて情報を収集するなどして、積極的に検討していきましょう。

まとめ

本稿で解説したように、軍用地投資は不動産投資の一種でありながら、一般的な土地や建物に対すると投資とはかなり勝手が違います。

普通、投資対象の選定には慎重になり、多くの情報を分析し、現地調査もぬかりなく行うものです。

しかし軍用地投資では、限られた情報をもとに、現地調査もせずに購入するのです。

軍用地の用途や、販売価格の計算方法が特殊であることを知れば、納得できることと思います。

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