軍用地の購入時にかかる諸費用は経費化できる?現地視察費用は?

軍用地を購入する際には、軍用地そのものの価格のほかに、様々な費用を負担する必要があります。

これらは、軍用地価格の7%程度になるとされており、決して安くはないため、しっかり把握しておく必要があります。

また、中には必要経費として計上できる費用もありますから、もれなく計上することが大切です。

本稿では、 軍用地の取得に伴って発生する諸費用、その中で経費化できる費用、現地視察費用の経費化の是非について解説していきます。

購入時の諸費用は売買価格の7%程度

軍用地を購入する際、軍用地の売却価格さえ支払えば購入できるというわけではなく、購入に伴って様々な費用が発生します。

この費用は、軍用地の売却価格の7%程度になります。

例えば、1000万円の軍用地を買う場合には、売却価格以外に70万円の費用がかかります。

利回りが2.5%であれば、年間の借地料は25万円ですから、3年分に迫る諸費用が掛かってしまうのです。

したがって、購入時にかかる諸費用を正しく理解し、 必要経費として計上できるものはもれなく計上することで、できるだけ節税を図ることが大切です。

経費になる費用とならない費用

不動産を取得する際の諸費用が、経費になる・ならないの基準は次のように考えます。

  • 登記に関する費用は経費になる
  • それ以外の費用は経費にならない

購入時にかかる諸費用と、経費になるかどうかを見ていきましょう。

経費にならない費用

まず、経費にならない費用を見ていきます。

以下の費用は、 登記のために必要となる費用ではないため、必要経費として計上することができません

仲介手数料

軍用地は、不動産業者を通じて購入することがほとんどです。

このとき、不動産業者に仲介手数料を支払う必要があります。

仲介手数料は、次のように、購入する軍用地の価格によって料率が異なります。

  • 200万円以下の部分には購入価格の5%の課税
  • 200万円超400万円以下の部分には購入価格の4%の課税
  • 400万円超の部分には購入価格の3%の課税

軍用地の価格は、安いもので数百万円、多くは1000万円台です。

1000万円の軍用地を購入した場合の仲介手数料は、次の通りになります。

(200万円×5%)+(200万円×4%)+(600万円×3%)=36万円

また、仲介手数料には消費税が課せられることから、この場合には36万円に8%の消費税を加算した38万8800円が仲介手数料の総額となります。

なかには、知り合いの軍用地主から直接購入する人もいると思いますが、そのような取引では仲介する不動産業者はおらず、仲介手数料も発生しません。

日割りの固定資産税

固定資産税は、毎年1月1日時点で不動産を所有していた人に課せられる税金です。

購入する軍用地についても、その年の1月1日時点で所有していた人に対して、1年分の固定資産税の支払いが求められます。

仮に、その軍用地の固定資産税が36万5000円であったとすれば、日割りにすると1日あたり1000円となります。

引き渡しの前日の時点で、 1月1日から数えて100日が経過していたならば、買主は売主に対して10万円を支払い、固定資産税を精算します

日割りの借地料

借地料も、固定資産税と同じように日割りで精算することになります。

軍用地の借地料は、その年の4月1日から翌年の3月31日を契約期間として、1年間の借地料を毎年8月ごろに一括で支払います。

したがって、売買の時点で売主がその年度の借地料を受け取っていなければ、精算する必要があります。

仮に、その軍用地の借地料が36万5000円であったとすれば、日割りにすると1日あたり1000円となります。

引き渡しの前日の時点で、 4月1日から数えて100日が経過していたならば、買主は売主に対して10万円を支払い、借地料を精算します

購入までの支払利息

融資を受けて軍用地を購入する場合には、金融機関の融資実行日と、売買契約を締結して決済する日が異なることがあります。この場合、買主は決済までの期間で発生する利息も負担しなければなりません。

例えば、融資実行日が4月1日、売買契約締結と決済が4月15日であれば、実際の取得以前に15日分の利息を負担していることになります。

このように負担した利息も、必要経費には含まれません。ただし、物件取得後に発生する利息は、軍用地経営にともなう必要経費として計上することができます。

経費になる費用

次に、登記に関わる必要であり、必要経費として認められるものを見てきましょう。

登録免許税

軍用地を購入したならば、その軍用地を登記し、第三者対抗要件を備える必要があります。

第三者対抗要件とは、第三者がその軍用地の所有権を主張したとき、 自分が真の所有者であることを証明するためのものです。

その際の登記に必要となるのが、登録免許税です。

もしこの登記していなければ、売買契約成立後、売主が軍用地を再び第三者に売り(二重譲渡)、その第三者が先に登記した場合には、第三者が真の所有者として認められてしまいます。

このため、登録免許税は負担の重い税金ですが、 必ず支払って登記する必要があります

軍用地の登録免許税は、

所有権登記の登録免許税=固定資産税課税標準額×2%

で算出します。

軍用地の固定資産税課税標準額は、国の借地権がついていることや、道路に接していないことなどから、一般の土地よりも低く設定されています。

そのため、登録免許税も 一般の土地と比べて安くなるのが普通です。

なお、融資を受けて軍用地を購入している場合には、その軍用地を担保とするため、金融機関の抵当権が設定されます。

この時、抵当権登記の登録免許税=借入総額×0.4%を支払います。

所有権登記と抵当権登記のいずれの場合にも、必要経費として認められます。

登記手数料

登記手数料とは、所有権や抵当権の登記のために、司法書士に依頼した際の手数料のことです。

司法書士の報酬は、各司法書士が自由に設定できるようになっています。

このため、司法書士の選び方次第で手数料が変わってきます。

融資を受けて軍用地を購入する場合には、金融機関から司法書士を指定されることもありますが、そうでない場合には不動産業者に紹介してもらったり、自分で選んだりすることになります。

費用を抑えるためには、日本司法書士会連合会のサイトの報酬目安を参考にして、 相場よりも高い司法書士を避けるのが良いでしょう。

もちろん、複数の司法書士を相見積もりにかけて、安い司法書士を選ぶという方法もあります。

不動産取得税

不動産取得税とは、不動産を取得することによって課せられる税金です。不動産を購入してから3~6か月後に納税通知書が送られてくるため、忘れずに準備しておくことが大切です。

上記の通り、軍用地の課税標準額は低めに設定されています。

計算式自体は、不動産取得税=課税標準額×4%ですが、それほど負担にはならないはずです。

不動産取得税は、登記に伴って支払う費用ではなく、必要経費にならないようにも思えます。

しかし、不動産取得税とは、

不動産を取得した時に一度だけ納める。いわゆる流通税の一種であり、不動産の移転という事実に着目して課されるものである

と定義されています。

つまり、 不動産の所有権が移転するからこそ発生しているのであって、所有権登記に関係ある費用とみなされ、必要経費になるのです。

印紙代

収入印紙は、契約金額に応じた印紙税を支払うべく、契約書に張り付けるものです。

現金で軍用地を購入する場合には、取り交わされる契約書は売買契約書だけであり、このときの印紙代も必要経費として認められます。

また、融資を受けて軍用地を購入するならば、売主と交わす売買契約書のほかに、金融機関と交わす金銭消費貸借契約書にも収入印紙を貼る必要があります。

この場合にも、印紙代を必要経費とすることができます。

現地視察費用はどうか?

軍用地を購入するにあたって、現地を視察することがあれば、それも経費として計上するに越したことはありません。

上記のように、登記に関する費用であるかどうかを基準とするならば、現地視察費用も必要経費には認められません。

しかしながら、取得にあたっての必要経費としては認められずとも、軍用地投資事業の経費としては認められる可能性があります。

一般的な不動産投資でも、軍用地投資でも、現地調査が必要になる場合があり、その支出は不動産投資事業を成り立たせるうえで必要なのですから、経費として計上することができるのです。

したがって、軍用地の視察として沖縄に訪問した場合には、その費用を 旅費交通費として計上することができます

ただし、その経費が果たして本当に必要経費であったのか、単なる旅行ではないのかという判断が難しく、費用にできないものが紛れ込むことも多いため、 税務署から目をつけられることも多い費用です。

もし、趣味として沖縄に旅行に行き、軍用地の視察をしたことにして、経費計上しようとしているならば、経費としては認められません。

もしそうしたければ、あくまでも軍用地の視察を軸に据え、客観的な証拠を残しておく必要があります。

軍用地の現地視察をすれば、客観的に視察であったと判断できる証拠が、何らかの形で残るはずです。

不動産業者を訪問すれば担当者から名刺をもらうでしょうし、軍用地に関する資料ももらうと思います。

そのほかにも、現地周辺を訪問した際に写真を撮ったり、メモを残したりしているならば、それも客観的な証拠となります。

このような 客観的な証拠があれば、沖縄に行くための交通費や現地の滞在費などを経費化することができます。

もちろん、税金は利益に対して課せられるものですから、経費をたくさん計上することで税金を抑えたとしても、同時に利益も減っていることを忘れてはなりません。

ある程度税金は払うと考えておいたほうが、手元に残る利益は多くなります。

再投資に回せる資金も多くなり、長期的な投資効率は高まります。

きちんと利益が出ており、投資効率も高いとみなされれば、金融機関からの評価も高くなるでしょう。

融資を受けて資産を拡大していく際にも役立ちます。

それを念頭に置いて、闇雲に経費を使うことがないようにしましょう。

まとめ

軍用地投資も、一般の不動産投資と同じように、取得の際に様々な費用がかかります。

これらの費用のうち、登記に関する費用は経費化することができ、初年度の節税に役立てることができます。経費化できるものはもれなく計上していきましょう。

また、現地視察費用なども、客観的な証拠を残すことで経費化することができます。

やり方によっては、現地視察を兼ねた旅行なども可能となりますが、経費が収益を圧迫しないように気を付けることが大切です。

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