軍用地の売却情報はこんなところにも・・・競売・公売もチェックしよう

軍用地投資は、ローリスク・ミドルリターンの投資であり、長期的に安定した収益が期待できます。

このため、近年では軍用地投資の人気が急速に高まっています。

しかし、 軍用地の数は限られています。

優良投資先であるため、手放そうとする人が少なく、投資したいと考える人が多いことから、なかなか購入できない難しさがあります。

本稿では、 他の投資家との激しい競争に巻き込まれないために活用したい、競売・公売情報について解説していきます。

軍用地情報を集めるポイント

軍用地投資に興味を持っている人は多く、沖縄県内はもちろんのこと、県外からも多くの人が購入の機会をうかがっています。

需要に対して供給が圧倒的に不足していることから、なかなか購入の機会に恵まれない難しさがあります。

軍用地を購入するためには、 軍用地の売却に関する情報をいかにスピーディに、多く集めるかが勝負の分かれ目となります。

特に沖縄県外から投資する人にとって、メインの情報源となるのはインターネットです。

沖縄県内の不動産情報を集めた総合サイトや、軍用地を取り扱っている地元の不動産業者のホームページなどをチェックすれば、軍用地の売却情報に巡り合うことがあります。

しかしながら、そのような インターネットの情報は日本全国の投資家の目に触れるため、競争が非常に激しくなります。

情報を掲載してから 数時間の内に買い手が見つかってしまうことも多いです。

このため、インターネットから簡単に集められる情報だけを頼りにしていると、購入は難しくなります。

定期的にチェックする習慣をつけ、情報を見つけてからすぐに問い合わせても、すでに買い手が決まっていたり、二番手以降になってしまうことがほとんどです。

もちろん、 不動産総合サイトや地元不動産業者のホームページから情報を得ることも大切です。

しかし、それはあくまでも最低限のことと考え、 それ以上の情報を積極的に求めていく必要があります。

情報源があまり一般的でなかったり、他の投資家が見落としがちのものであれば、購入の機会が得られる可能性は高まります。

官公庁の競売・公売情報

一般的な不動産投資家があまり見ておらず、 競合相手がそれほど多くない情報源のひとつに、官公庁の競売・公売情報が挙げられます。

競売と公売の意味をそれぞれ簡単に説明すると、以下の通りです。

  • 競売:債務者と債権者の間で発生している債務に対して、債務不履行が生じた場合に、担保となっていた資産を裁判所の管轄下で強制的に売却すること。 
  • 公売:税金の滞納によって、国税局や税務署などが差し押さえた資産を、官公庁の権限に基づいて売却すること。

 

売却の流れの違い

競売と公売のいずれについても、売却は入札方式で行なわれます。

競売・公売にかけられた資産を買いたいと思う法人や個人が、 買いたいと思う価格で入札し、最も高い金額を提示した人が落札できる仕組みです。

ただし、 売却価格の決め方には、以下のような違いがあります。

競売の場合

競売物件の売却価格は、まず 売却基準価額が決定された後、買受可能価額が決定されます。

売却基準価額とは、競売物件を競売にかける前に不動産鑑定士が調査を実施し、その物件の価額を算出するものです。

競売物件には、 競売特有の取引のしにくさを考慮して、市場価格に減価率をかけるため、市場価格よりも安くなります。

売却基準価額を決定したら、その8割を目安として買受可能価額を設定します。

入札希望者は、 買受可能価額以上で入札することができます。

したがって、競売物件は「市場価格より低い売却基準価額×8割」から入札できるため、 市場価格の7~8割程度で購入できる可能性があります。

公売の場合

公売物件の売却も、まずは 不動産鑑定士などが公売財産の評価を行ない、基準価格を算出します。

ここでも、公売の特殊性を考慮して、 基準価格の30%程度の範囲内で減価されます。

様々な要因を考慮して 減価された価格を、見積価額と言います。

公売では、 見積価額以上から入札可能となっています。

したがって、公売で購入する場合、競争が激しくなければ 市場価格の7割程度で購入できる可能性があります。

もっとも、競売・公売にかけられる物件が魅力的であれば、買受可能価額や見積価額以上で買いたいと考える人が多くなります。

そのため高額での入札が増え、市場価格により近い価格での落札となります。

必ず7~8割で買えるとは限らないのです。

軍用地が競売・公売にかけられる理由

戸建て住宅、賃貸物件、宅地や田畑などの土地が競売・公売にかけられることは、皆さんもご存知のことと思います。

一方、軍用地が競売・公売にかけられるイメージは、あまりないかもしれません。

しかし、 軍用地も年に数回程度、競売や公売にかけられることがあります。

それは、以下のような理由からです。

競売にかけられるケース

まず、軍用地には担保が設定されていることが多いです。

軍用地は、 借地料を安定して受け取れることから、一定の返済原資が見込めるため、金融機関にとって担保価値が高いです。

このため、自己資金だけで軍用地を購入するのではなく、購入予定の軍用地を担保に入れた上で融資を受けるケースがほとんどです。

また、 沖縄の地銀では、軍用地を担保にすることで融資を受けられる「軍用地主ローン」を提供しています。

スムーズに融資を受けられること、資金使途が自由であることなどから、軍用地主ローンを利用して軍用地以外の収益物件に投資したり、自宅のリフォームをしたりする軍用地主も多いです。

融資を受けている軍用地主が、何らかの理由によって返済困難に陥ったとき、担保に入っている軍用地が競売にかけられることとなります。

公売にかけられるケース

次に、 公売にかけられるケースですが、これは主に相続税の滞納が考えられます。

軍用地から安定して収益を得ている人ならば、普通に生活するうえで課せられる税金、あるいは不動産に対して毎年課せられる税金を滞納するほど、困窮することは少ないはずです。

しかし、 相続税となると話が変わってきます。

2015年に相続税が改正され、基礎控除が縮小されたことにより、相続税の課税対象者が拡大しました。

相続税は現金で支払う必要があるため、相続した親族に納付額相当の現金を持っていなければ、相続を放棄して相続税の支払いをゼロにするか、相続した資産を売却して納付しなければなりません。

軍用地を相続した人が、納付のための現金を持っていない場合には、軍用地を売却して支払うこととなります。

この時、 何らかの理由によって軍用地を売却できず、納付できないまま納付期限を過ぎてしまうと、軍用地が差し押さえられて公売にかけられることになります。

考えられるのは、相続トラブルによって軍用地の処分が難航し、納付期限を過ぎるパターンです。

日本の税法では、遺産を相続した時点ではなく、被相続人の死亡の翌日から10か月以内が納付期限となっているためです。

もっとも、 相続税を納付するために、軍用地を分筆して一部だけを切り売りすることもできるため、相続の際に軍用地がお荷物になるということではありません。

競売・公売のメリット

一般的な不動産投資でも、競売・公売物件への投資には色々なメリットがあります。これは、軍用地でも同じです。

安く買える可能性がある

まず、上記のように売却価格が決められることによって、市場価格よりもかなり低い価格で購入できる可能性があります。

競売の場合、債権者は担保を競売にかけた時点で、すでに長期の延滞が発生しており、損失が発生している状態です。

損失を最小限に留めるためには、債権者は できるだけ早急に売却して貸出金を回収する必要があり、これが競売の最大の目的となります。

上記の通り、競売物件は市場価格から2~3割ディスカウントされ、買受可能価額が設定されます。

これは、競売の特殊性を考慮すると同時に、 債権者が「不良債権を早急に処理したい」と考えていることも大きな理由です。

市場価格に近い価格で売るに越したことはありませんが、それでは買い手が見つかるまでに時間がかかってしまう可能性があることから、競売にかけられる物件は、市場価格よりもかなり安い価格から入札できるのです。

公売は、債権回収を目的としておらず、競売ほどに差し迫った事情がありません。

このため、市場価格を大きく下回ってもよいからとにかく売る、といった形にはなりません。

とはいえ、公売の価格も減価されたうえで決定されるため、やはり市場価格よりも安く買える可能性が高いです。

実際、 競売・公売ともに、軍用地でも市場価格の8割前後で落札されることが多いようです。

入札だから買える可能性が高い

また、 競売・公売は入札方式であることから、激しい競争が起きにくいことも大きなメリットです。

不動産総合サイト、不動産業者のホームページ、メルマガ、新聞の不動産広告などを情報源とする場合、その情報をいかに早く取得し、早く問い合わせるかがカギとなります。

しかし、 競売・公売では、事前に情報を公示し、入札期間を設けます。

つまり、軍用地情報を見つけてすぐに行動を起こし、一番乗りで買い付けを申し込んだ人が交渉権を得るのではなく、入札期間に入札した人のうち、最高額で入札した人が落札者となります。

このため、他の投資家に遅れをとって買えなかった、ということにはなりません。

さらに、 競売・公売では最高額で入札した人が落札するため、高い価格を提示すれば購入できるとも言えます。

競売・公売に参加するのは、不動産業者や一般の不動産投資家です。

軍用地ならば、軍用地を取り扱っている沖縄県内の不動産業者と、全国の投資家が競合相手となります。

まず、 不動産業者と争う場合、こちらが落札できる可能性は高いでしょう。

というのも、不動産業者は割安な価格で落札した物件を転売することで利益を得るためです。

軍用地は人気が高く、仕入れが難しいため、不動産業者にとっても競売・公売での仕入れは魅力的です。

とはいえ、高額の入札によって落札すれば、利益が目減りするため、できるだけ安く買うことが前提となります。

また、 不動産業者にとって、仕入れた軍用地は在庫です。

在庫の回転率を下げないためにも、長期にわたる保有は避けるのが普通であり、「とりあえず高額で落札して、軍用地価格が上がってから売る」というスタンスも成り立たないのです。

一方、 こちらは長期投資を前提として入札に参加するのですから、市場価格とあまり変わらない金額でも落札できます。

このように、 不動産業者と一般の投資家では利益を得る手段が違うため、落札できる可能性が高いのです。

ただし、軍用地投資に強い魅力を感じている不動産投資家と争うならば、高い金額での入札で争うこととなり、落札が難しくなります。

とはいえ、 一般的な情報源と比較して、競売・公売情報をチェックしている人はそれほど多くありません。

不動産総合サイトなどの情報に比べて、競争率は低くなると言えます。

さらに、競売・公売で買うならば安くなければ魅力的ではないと考える人も多く、このような心理的な理由からも競争が抑制されます。

なお、居住地によって入札が制限されることはないため、県外の人も問題なく入札に参加できます。

競売・公売のその他のメリット

競売・公売には、上記のほかにもメリットがあります。

それは、 一般的な取引で買うよりも諸費用が抑えられることです。

一般的な取引では、売主と買主を仲介する不動産業者が存在するため、仲介手数料が必要となります。

仲介手数料は物件価格の3%程度ですから、1000万円の軍用地ならば30万円程度となります。

しかし、 競売・公売では、取引の仲介者が裁判所や官公庁であるため、仲介手数料が不要です。

さらに、所有権の移転も官公庁が手続きしてくれるため、司法書士報酬も不要の場合があります。

このほか、国が取引相手となるため、悪質業者に引っかかって不利益を被る心配もありません。

競売・公売によって購入すれば、市場価格より安く買えるだけではなく、その他さまざまなメリットがあるのです。

 

軍用地を競売・公売の注意点は?

一般的に、競売・公売にはデメリットもあります。

競売・公売のデメリットとしてよく挙げられるのは、競売・公売物件に元の所有者が居住しているなどの理由から、内見できない場合も多いことです。

このため、 購入後にリフォームコストが予想を上回ることがあります。

さらに、 購入後に重大な瑕疵が見つかったとき、賠償を請求できる相手がいないことも注意点です。

一般の売主が相手であれば、瑕疵担保責任を問えるケースもあるのですが、競売・公売では相手が裁判所や官公庁であるため、瑕疵があっても取り合ってくれないのです。

しかし、 軍用地は基地内の土地ですから、そもそも内見ができませんし、その必要もありません。

瑕疵に悩まされることもありません。

このため、一般的な競売・公売の注意点は、軍用地ではなんら問題になりません。

軍用地を競売・公売によって購入するとき、物件調査の手がかりとなるのは物件明細書・現況調査報告書・評価書です。

特に見るべき資料は物件明細書であり、ここには対象となる軍用地の概要や権利が記載されています。

軍用地の場合、物件明細書の

「物件の占有状況等に関する特記事項」には『本件土地は、軍用地として国(沖縄防衛局)が賃貸借により占有している』

「その他買受けの参考となる事項」には『本件土地は、米軍用地(あるいは自衛隊用地)として利用されている』

と記載されています。

対象物件が軍用地であれば、このような記載がされているはずです。

軍用地以外の場合には、占有者・境界・接道などの問題もチェックすべきですが、 軍用地ではこの記載があることを確認すれば問題ありません

 

まとめ

競売・公売で軍用地が取り扱われるのは年に数回です。

このため、競売・公売という選択肢を知っている人は多いものの、 チェックしても情報が見つからないことが多く、次第に定期的なチェックを怠り、見逃してしまう人が多いです。

これをしっかりとチェックすることは手間がかかりますが、それゆえに差がつくところです。

大人気の軍用地を確実に手に入れるためにも、 競売・公売情報もしっかりとチェックすることをおすすめします。

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