【基礎知識】軍用地投資とは?軍用地投資が広がっている理由を探る
不動産投資のジャンルの中でも、まだあまりメジャーではないものの、有望な投資先として富裕層の間で注目されているものに「軍用地投資」があります。
これは、沖縄の米軍や自衛隊の基地用地を購入し、借地料を受け取る投資手法です。
本稿では、まだあまり知られていない軍用地投資の基礎知識について解説していきます。
目次
軍用地投資とは?
不動産投資とは、その名の通り不動産に投資するものです。
多くの人にとって、不動産投資としてイメージされるのは、土地やアパマンへの投資なのですが、不動産投資では様々なものを投資の対象としています。
オフィスビル、倉庫、工場などがそうですし、最近では駐車場も良く知られるようになってきています。
不動産投資は、古くから「富裕層のもの」というイメージがありました。
しかし、ここ数年で、不動産投資に関心を持つ一般層は着実に増えてきており、「サラリーマン大家さん」などと呼ばれる人も多くなりました。
アパマンを対象とした不動産投資の関心は高まる一方ですが、まだまだ知られていない、主に富裕層から関心を寄せられている不動産投資があります。
それは、「軍用地投資」です。
軍用地という言葉からもわかる通り、これは軍が使っている土地への投資です。
具体的には、 沖縄の米軍基地や自衛隊基地の土地に投資することを指します。
沖縄と米軍基地が密接な関係にあることは、多くの人が知っていることでしょう。
では、米軍が基地を構えている土地はどのようになっているのか、これについてはそれほど知られていません。
戦後、米軍は沖縄に進駐しました。
これは現在でも変わっていませんが、現在基地となっている土地は、当たり前のことながらもともとは沖縄の誰かの土地でした。
そこに米軍が進駐するからといって、地主が簡単に引き渡すはずはありませんし、色々と複雑な問題も起こりました。
アメリカも地元民も互いに譲らない状況で、アメリカは強硬的に土地を接収することを計画し、実際に事件も多発しました。
そこで、日本政府が地元民から土地を借り上げました。
借地料を毎年支払い、米軍に軍用地として提供することにしたのです。
これが軍用地であり、軍用地投資とはこのような経緯で借地料が発生している土地への投資です。
「軍用地投資と言えば沖縄」の理由
ここまでも話した通り、軍用地投資は主に沖縄での投資を前提としています。
しかし、ここに疑問を持った人もいるはずです。
米軍や自衛隊が基地を構えており、軍用地と言えるであろう土地は 沖縄以外にも存在しているからです。
では、なぜ軍用地投資といえば沖縄なのかと言えば、沖縄以外の軍用地は、国有地を軍用地として提供しているケースがほとんどだからです。
具体的には、沖縄以外の都道府県の米軍基地用地では、約93%が国有地で賄われています。
国有地以外が7%あることから、個人が所有し、借地料をもらっているケースもわずかながらあることがわかります。
しかし、そのような土地が不動産市場に出回ることはありません。
これが、沖縄以外で軍用地投資が一般的ではない理由です。
また、歴史的にも、経済的にも、沖縄は他県と比べ物にならないほど米軍基地と密着しています。
例えば、以下のようなデータを見れば明らかです。
- 沖縄の軍用地は、日米安保条約に基づいて米軍の使用が認められている
- 沖縄本島における米軍基地用地の面積は約8%(264㎢)にのぼる
- 沖縄県の米軍基地用地は、県全体では約77%を国が借り上げており、県中部地域では約93%を国が借り上げている
- 日本全土に存在する米軍施設の約70%は沖縄に存在する
- 米軍基地に雇用されている沖縄県民は9000名以上にのぼる
- 沖縄全土の軍用地に支払われている借地料は、年間で900億円にのぼり、市町村にとっても重要な収入源となっている
以上のようなデータからも、軍用地が沖縄で非常に重要なものであることがわかります。
もはや沖縄とは切っても切れない関係にあることも間違いのないことです。
軍用地投資といえば沖縄の土地への投資を指すことも良くわかるでしょう。
軍用地投資が広がっている理由
ところで、軍用地投資がなぜ最近になって急に注目を集めているのでしょうか。
本当に投資対象として優れているならば、もっと早く注目を集めてもよさそうなものです。
この理由を知るためには、売る側の論理と買う側の論理の両面から考えるのがベストです。
売る側の論理
まず、売る側の論理から考えてみましょう。
軍用地は、政府が借主となって、安定的に収入を得られるだけではありません。
借地料は年々上がっています。
そのような打ち出の小槌を売るのですから、賢明な判断とは思えないでしょう。
しかし、軍用地の持ち主の中には、 相続税の支払いに困る人もいます。
相続税は、被相続人が死亡してから10か月以内に一括納付するものであり、全額を現金で支払う必要があります。
このため、相続税を支払えない人も当然出てきます。
特に、現金で支払わなければならないのですから、現金ではなく軍用地を相続した人は、支払いに困ってしまいます。
相続税を支払うための現金がない人は、軍用地を売るなどして現金を調達する必要があります。
その点、 軍用地は分筆(土地を分割すること)することができるため、必要な現金相当の軍用地を分筆して売却し、現金を調達することができます。
このように、相続税の支払いのために軍用地が売られることで、沖縄の不動産市場には徐々に軍用地の売買情報が出回るようになったのです。
これが、軍用地投資が徐々に盛り上がりを見せている理由の一つです。
買う側の論理
次に、買う側の論理を見てみましょう。
軍用地投資が注目されだしたのは、1990年代のバブル崩壊のころからです。
バブル崩壊以前は、土地などの不動産をはじめ、株などの価格が天井知らずに伸びていきました。
そのような好景気により、銀行預金も普通預金で年利2%、定期預金で年利8%くらいの利息がもらえていました。
これに対して沖縄の軍用地は年利5%くらいが相場であったため、バブル崩壊以前はあえて軍用地に投資する理由がなかったと言えます。
ところが、 バブル崩壊後にあらゆる資産の価値は大きく下落していきました。
しかし、軍用地の価値はその影響をあまり受けることなく、借地料によるリターンも安定していたことから、徐々に注目を集めるようになっていきました。
バブル崩壊、リーマンショックなど、大きな金融不安が起き、あらゆる金融商品の価値が下落しました。
そんなときでも軍用地はその影響をほとんど受けず、抜群の安定を見せました。
それと同時に、相続税を理由として軍用地を売りに出す人が増えたのです。
買いたいと売りたい人が増えながら、徐々に軍用地投資の人気が形成されていったと言えます。
まとめ
米軍や自衛隊が使う土地を買い、借地料で稼ぐ軍用地投資の基礎知識を紹介してきました。
軍用地は優良な投資対象ですが、現在はまだそれほどメジャーとは言えません。
しかし、ネットなどの情報を見てみると、軍用地投資に関する情報は徐々に増えてきており、着実に人気が高まっていることが分かります。
興味のある人は、当サイトの情報から色々な知識を学び、 早めに動き始めることをお勧めします。