「地価が上昇し続ける」軍用地の強みをデータで検証してみる
当サイトをご覧の皆さんにとって、「軍用地の地価が上昇を続けている」ということは、もはや常識になっているかもしれません。
これは、軍用地投資の大きな魅力です。
では、軍用地の地価はどのように上昇を続けているのでしょうか。
大幅に上昇するときもあればそれほど上昇しないときもあるのか、それとも長期間にわたって緩やかに上昇を続けているのか、長期間にわたって大幅に上昇を続けているのか・・・といった疑問を抱いている人も多いと思います。
本稿では、そのような疑問に答えるためにも、 住宅地や商業地の地価動向と比較することで、 軍用地の地価動向を明らかにしていきたいと思います。
目次
軍用地の地価は上昇する
軍用地の最大の魅力は、リスクが低く、収益が安定していることです。
単にリスクが低いだけであれば、日本国債や銀行の定期預金などもリスクが低いのですが、このような低リスクの投資ではリターンもほとんど得られないことが難点です。
しかし軍用地投資では、リスクが非常に低く、収益が安定しているだけではなく、 それなりに高い利回りを確保できます。
借地料は年々増額されるため、利回りは常に上昇していきます。
さらに、借地料が上昇すれば、軍用地の地価は上昇するため、売却益も得られます。
軍用地以外の土地も、その土地の運用によって得られる収益が高まれば、地価は上がります。ただし、土地は立地や景気の影響を受けます。
これらの影響は時代によって変化するため、収益性の向上と地価の上昇は必ずしも比例するものではありません。
これに対し、 軍用地は、収益性の向上と地価の上昇が比例します。
なぜならば、軍用地の地価を算出する際には、その軍用地が属するエリアの競争率を表す「相場の倍率」と、借地料を掛け合わせるからです。
このため、借地料が上昇するにつれて、軍用地の地価も高まっていきます。
もちろん、相場の倍率が低下すれば、借地料が上昇しても軍用地の地価は低下することになります。
しかし、軍用地の人気は高く、相場の倍率が低下することは考えにくいです。
むしろ、最近の傾向から考えれば、今後も相場の倍率は上昇していくと考えられます。
実際に、最も人気の高いエリアの一つである「嘉手納飛行場」の相場の倍率は、2011年に35倍程度であったものが、2019年には58~60倍へと大幅に上昇しています。
他の不動産と比べてみる
軍用地の地価の上昇を知るためには、他の不動産の地価の推移と比較するとよくわかります。
そのために参考となるデータとして、 不動産DI調査があります。
不動産DI調査とは、各都道府県の不動産鑑定士協会が不動産関連事業者にアンケートを実施し、その結果から地価動向、賃貸動向、取引件数動向などについてポイントを算出し、指数化したものです。
調査は、半年ごとに実施されます。
例えば、沖縄不動産市場における地価動向を調査したデータでは、沖縄県の不動産関連事業者に対し、
「前回(半年前)の調査時に比べて(令和1年5月公表の調査であれば、平成30年11月公表の調査時点に比べて)、地価の上昇を実感しているか、あるいは下落を実感しているか」
というアンケートを実施し、ポイント化します。
調査結果のポイントがプラスであれば、沖縄県の不動産関連事業者が半年前より地価の上昇を実感しており、マイナスであれば地価の低下を実感していることになります。
プラスの結果が続いていれば、地価が上昇を続けていることとなり、マイナスの結果が続いていれば、地価が下落を続けていることを示します。
沖縄県の地価の動向について、データをまとめると以下のようになります。
H26.11 | H27.5 | H27.11 | H28.5 | H28.11 | H29.5 | H29.11 | H30.5 | H30.11 | R1.5 | |
住宅地 | 42.0 | 51.3 | 58.8 | 68.5 | 71.8 | 82.8 | 83.7 | 74.6 | 78.9 | 70.0 |
商業地 | 42.4 | 54.7 | 64.4 | 70.7 | 74.4 | 80.1 | 84.8 | 79.2 | 85.0 | 79.5 |
軍用地 | 72.9 | 77.4 | 76.3 | 75.3 | 73.5 | 80.8 | 83.4 | 73.0 | 79.3 | 73.1 |
このデータを見ると、住宅地・商業地・軍用地の全てにおいて、 沖縄の地価が 上昇を続けていることが分かります。
住宅地と商業地は、平成26年11月に42ポイント程度でしたが、平成27年5月に50ポイント以上へ上昇、その後も60ポイント台、70ポイント台を順調にクリアし、平成29年には80ポイントを超えています。
最近では70ポイント台に落ち込んでいますが、それでもここ数年で急速に上昇している様子が分かるでしょう。
このような地価の上昇は、単に沖縄県の不動産関連事業者の感覚的なものではなく、地価公示の結果からも明らかです。
琉球新報の記事をはじめ、過熱感・違和感を指摘する意見も少なくありません。
軍用地の地価が安定して上昇する理由
ここで注目したいのが、調査結果の全期間において、軍用地は70ポイント以上で推移していることです。
これは、とりもなおさず、軍用地の地価が住宅地や商業地に比べて、安定して上昇を続けていることを表しています。
住宅地や商業地の地価の上昇が鈍い局面でも、軍用地の地価は大きく伸びているのです。
このように、同じ沖縄県内の土地でありながら、住宅地・商業地の地価動向と、軍用地の地価動向は大きく異なります。
これは、住宅地・商業地などの一般的な土地と軍用地では、用途が全く異なるためです。
一般的な土地の地価推移
住宅地や商業地などの一般的な土地の地価は、景気に大きく左右されます。
住宅地や商業地の地価が上昇するためには、需要が高まる必要があります。例えば、
- 住宅地を購入し、居住用物件を取得する個人や事業者が増える
- 商業地を購入し、店舗・事務所用物件を取得する事業者が増える
- 住宅地や商業地を購入し、賃貸用物件を取得する事業者が増える
などにより需要が高まると、地価は上昇していきます。
景気が良ければ、個人の所得は増加し、消費は活発になり、このような需要は高まっていきます。
個人が持ち家を取得することも増えますし、賃貸経営の収益性も高まり、居住用・事業用の双方で、土地の需要が高まります。
銀行も、旺盛な資金需要に応えるために融資を拡大します。
その結果、土地の取引が活発化し、高い価格でも買おうとする人が増えるため、需要の高まりとともに地価が上昇していくのです。
逆に、景気が悪い局面では、需要は低下します。
誰もが資産の運用に慎重になり、積極的に土地を取得し、居住用や事業用として活用する動きが少なくなります。
銀行も、景気後退局面では貸し倒れリスクに敏感になり、融資を縮小するため、融資を受けて土地を取得することが難しくなり、取引が減少します。
その結果、売りたい人は高値で売ることができず、安値で売り払いたいと考える人も増えるため、需要の低下とともに地価は低下していくのです。
以上のように、住宅地や商業地の地価は、景気に大きく左右されます。
不動産DI調査においても、景気が悪ければマイナスポイントになり、良くも悪くもなければ0ポイント付近に落ち着き、景気が良ければプラスポイントになります。
調査結果では、住宅地・商業地は40ポイント台や50ポイント台から、80ポイント台に上昇しています。
これによって、近年の沖縄不動産市場は好景気にあったことが分かります。
しかし、 今後、景気が冷え込む局面になったとき、ポイントは大きく低下することが予想されます。
軍用地の地価推移
住宅地・商業地とは異なり、軍用地の地価は景気に左右されません。
なぜならば、軍用地は米軍や自衛隊の基地用地として利用されるものだからです。
景気が良い時代にも、悪い時代にも、国防は重要事項です。
景気が良い局面では、軍用地投資に資金を振り分ける投資家も増えるため、相場の倍率は上昇し、地価が上昇しやすくなるでしょう。
景気が悪い局面でも、地価が低下する可能性は低く、 むしろ上昇すると考えられます。
景気が悪い局面では、リスクを避けるために株式などから資金を引き上げ、少しでも良い投資先を探る保守的な投資家が増えるためです。
保守的な投資家にとって、安定した収益が期待できる軍用地は、非常に魅力的な投資先です。
既に軍用地を所有している投資家は、積極的に軍用地を手放そうとは考えませんし、軍用地を所有していない投資家は、積極的に投資の機会を伺います。
これにより、供給に対する需要が高まり、相場の倍率も上昇します。
さらに、 借地料も景気に左右されません。
沖縄の軍事基地は、日本の国防のために重要なものであり、日本政府は円滑な基地運営のために、軍用地主とのトラブルを避けます。
そのためにも、景気に関係なく借地料を支払い続け、軍用地主の要請に応じて借地料の増額を続けます。
もっとも、景気後退局面では、政府の財政状況も悪化するため、増額される借地料は平常時よりも小さくなります。
とはいえ、 景気後退局面でも利回りが上昇し続けることは大きな魅力です。
このように、景気に関係なく、軍用地の需要は高く、借地料は上昇を続けます。
軍用地の地価を算出するための相場の倍率と借地料のいずれにおいても、地価の上昇要因となるのです。
これが、不動産DI調査で、住宅地・商業地のポイントが低い時期にも、軍用地のポイントが高く推移している理由です。
不動産DI調査は平成26年に始まったものであり、住宅地・商業地のポイントがマイナスになっているデータはありません。
しかし、おそらく、そのような時期にも軍用地の地価は高く推移するでしょう。70ポイントを割り込んでも、比較的軽微な低下に留まるはずです。
地価が低下する可能性もある
唯一、軍用地の地価が低下することがあるとすれば、それは単なる好景気ではなく、 かつての バブル景気のような超好景気に至った場合です。
超好景気の局面では、株価は大幅に高まり、預金金利もかなり高く設定されるため、「収益が安定している」という軍用地の魅力が損なわれます。
軍用地に投資する人は減り、需要は低下し、地価も低下する可能性があるのです。
しかし、昨今の景気動向から考えて、近い将来、かつての バブル景気のような超好景気になるとは考えにくいです。
超好景気になり、地価が低下することを危惧して軍用地投資を避けるよりも、軍用地投資を積極的に進め、長期投資に取り組んだほうが賢明です。
まとめ
本稿では、沖縄県の不動産DI調査の結果から、軍用地の地価について解説しました。
軍用地の地価動向は、全ての調査結果を通じて70ポイントを上回っており、住宅地や商業地よりも、安定して上昇を続けていることが分かったと思います。
軍用地投資は、基本的に長期投資で臨むものです。
長期にわたって保有するうちに、借地料が増額され続け、地価が上昇し続けた結果、売却時には価値が大きく高まっており、大きな売却益が期待できるのです。
今後も、軍用地の地価は安定して上昇していくでしょう。投資期間を確保するためにも、早めの投資をおすすめします。