「沖縄ビジネスで人脈を作りたい」←溶け込もうとしすぎると危険です

ビジネスに人付き合いは欠かせないものです。特に県外の人が沖縄でビジネスを始めるならば、上手に距離を測りながら上手に溶け込んでいくことが大切です。

そのためには、 沖縄の人が県外の人にどのような印象を抱いているか、距離感を間違って拒絶されないためにはどう振る舞うべきかを知るべきです。

本稿では、沖縄県民が県外の人に抱く印象と、距離感を間違いやすい「話し方の問題」について解説します。

沖縄に溶け込むべき?

沖縄でビジネスをするにあたって、特に県外の人は、現地の文化や人々との距離感を考えることと思います。

中でも、現地に溶け込むべきかどうか、溶け込むならばどの程度まで溶け込むか、といった問題を考えておく必要があります。

もちろん、沖縄でビジネスする以上、現地に溶け込まないわけにはいきません。

現地に溶け込むことを嫌い、県外の人という立場をかたくなに貫こうとすれば、現地の人とうまく付き合うことはできませんし、ビジネス上の人間関係もうまくいかないでしょう。

 

しかし、いくら溶け込むべきとは言っても、必要以上に溶け込もうとすれば、それも問題です。

いくら溶け込もうとしても、やはり県外の人は県外の人であって、完全に沖縄に染まることは難しいものです。

突き抜けた適正があり、自然に溶け込むことができれば良いのですが、不自然さが出てしまえば現地の人から疎まれる可能性があるのです。

これを踏まえて、沖縄ビジネスで成功するためには、 現地の人々との適度な距離感を考える必要があります。

沖縄県民のコンプレックス

なぜ、適度な距離感が大切なのでしょうか。それは、沖縄の人が県外の人にコンプレックスを抱いているからだと言われます。

沖縄県民の中には、沖縄はかつて日本ではなかったと考える人が少なくありません。

このような考え方は、 特に50代以上の沖縄県民に多いとされており、年齢が高くなるにつれて顕著になる傾向があります。

 

この背景には、沖縄が元々琉球王国という独立した国であったことや、戦後長期にわたってアメリカに占領されていたことがあります。

琉球王国については、江戸時代に薩摩藩に従属していたものの、それ以前は独立した国でした。

このため、歴史的にも、民族的にも、文化的にも、日本本来のものとは異なる趣があり、なんとなく田舎者だというコンプレックスを抱く人も多いのです。

これは、全く穿った見方ではありません。

実際に、50代以上の沖縄県民は、県外の人と喋ることをあまり好まない場合がよくみられます。 標準語が苦手であることを「田舎者だ」と恥じているのです。

 

沖縄観光業の構成を見ても、沖縄県民が積極的に観光業に携わって成功しているケースより、県外の人が観光業で成功しているケースが目立ちます。

これも、県外の人を相手とする商売に苦手意識があるためです。

コンプレックスや苦手意識を持っている相手が、溶け込もうとしてぐいぐい距離を詰めてくれば、誰しも拒絶反応を起こすものです。

県外から沖縄に来た人が必要以上に溶け込もうとしても、距離感が不自然になり、却って拒絶されかねません。

 

そうならないためには、溶け込むことに積極的になりすぎず、 現地の人との距離感を徐々に縮めていくべきです。

最初のうちは、現地のタブーやマナーを学んで行動するなど、沖縄のことを学ぼうとする姿勢があれば良いでしょう。

そうすれば、現地の人も「沖縄のことを知ろうとしているな」「沖縄に溶け込もうとしているな」という印象を抱き、徐々に受け入れてくれるはずです。

気をつけたい「方言問題」

距離感を間違えて嫌われるケースとして最もわかりやすいのは、県外の人が沖縄の方言を使うケースです。

現地の言葉を積極的に使うことは、現地に溶け込むために役立つ場合と、役立たない場合がハッキリと分かれます。

まず、距離が非常に遠い相手が現地の言葉を使えば、それによって溶け込めることがあります。

分かりやすいのが、外国人が現地の言葉を使う場合です。

 

例えば、日本に観光に来たアメリカ人が日本語でコミュニケーションを取ろうとしていれば、その日本語が下手であっても、「日本が好きなんだな」といった好ましい印象を抱きます。

英語が話せず、外国人にコンプレックスや苦手意識を抱いている日本人でも、好印象をもって接し、困っていれば手助けしてあげようと思うでしょう。

 

一方、距離がそれほど遠くない相手、例えば 同じ日本人同士でありながら、現地の言葉を使おうとすると、たちまち悪印象につながることがあります。

よく、関西のお笑い芸人に対し、関東のお笑い芸人が下手な関西弁で絡み、関西芸人がキツくツッコむシーンがあります。

これが笑いになるのも、「下手な方言で絡むことが、現地の人に癇に障る」という一般的な認識があるからです。

芸人同士であれば、笑いにつながるメリットがありますが、そうでなければ 単に癇に触れるだけで、何のメリットもありません

 

県外から沖縄に移住した人も、やたらと沖縄の方言を使っていると、間違いなく嫌われるでしょう。

それが下手であれば、馬鹿にしたような印象を与えることもあり、「沖縄が好きなんだな」などの好印象を抱かれることはありません。

沖縄に溶け込むために、方言を使う必要はありません。自分の地元の言葉で話せばよく、癖の強い方言であれば標準語で話せば良いでしょう。

その上で、沖縄の方言を理解する努力があれば、現地に溶け込むことは可能です。

沖縄の方言に自信がある場合

沖縄の方言に自信がある人でも、方言には慎重になるべきです。

そのような人は、「 沖縄の方言に精通している、自分はそれくらい沖縄のことが好きなのだ、方言を使えば溶け込めるはずだ」と考えるかもしれません。

しかし、自分で思っている以上に、沖縄の人は自分に対して「県外の人」という意識を持っているものです。

沖縄県出身者とそれ以外の人では、顔の濃さや日焼けの程度、服装などがかなり異なり、特に沖縄の人はそれがよくわかっています。

 

また、本人はうまく話していると思っていても、 現地の人からすればどこか違和感があることがほとんどです。

このため、方言が上手に使えるとしても、沖縄の人が沖縄の方言を話すのと、県外の人が沖縄の方言を話すのとでは印象が異なり、どうしても「県外の人がやたらと沖縄の方言を使っている」と思われることが多いのです。

相手によっては、県外の人にコンプレックスを抱いており、標準語に苦手意識があります。

そのような相手に対し、標準語ではなく方言を使えば、コンプレックスを刺激することにもなりかねません

したがって、沖縄の方言に自信がある人も、方言を使いすぎることは避けたほうが無難です。

まとめ

本稿では、沖縄県民が県外の人に抱いている印象と、それを踏まえた具体例として「話し方の問題」について解説しました。

もっとも最近では、本稿で解説したコンプレックスを抱く人はかなり少なくなっています。

特に、若い世代では強いコンプレックスがみられません。

筆者の学生時代の友人にも沖縄出身者が複数いますが、その友人たちは沖縄の方言を使い続け、コンプレックスを抱いているとは思えませんでした。

しかし、沖縄の人が自覚しない深層心理的な部分でのコンプレックスは根強いため、そこを踏まえて付き合うべきです。

方言をはじめ、必要以上に溶け込もうとすることで拒絶されないよう、気をつけましょう。

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