商業地域への投資はNG!住宅地域が需要が増加している沖縄は不動産投資に向いている
地価が上昇している地域では、不動産に投資することで儲けられそうなイメージがあります。しかし、地価が上昇する要因は色々であり、 商業需要が高まっている場合もあれば、宅地需要が高まっている場合もあります。
もし、リゾート開発などによって地価が上昇しているならば、個人の不動産投資家が入り込んで利益を得ることは困難です。
賃貸不動産投資によって長期的な利益を得るならば、 宅地需要の高い地域に投資する必要があります。
本稿では、 沖縄県の宅地需要の増加と、他の地域との違いについてみていきます。
目次
人口の増減が少ない沖縄は不動産投資向き
現在、日本では人口の減少がすでに始まっており、長期的に大幅な減少が見込まれています。 人口が減少すれば空室リスクは高まるため、将来的に不動産投資の環境は悪くなっていくと思われます。
そんな中、長期的に人口がほぼ変わらないエリアと言えば、 東京都と沖縄県の2つだけです。
東京都と沖縄県は、 2015年から2045年までの30年間で「人口の増減が±1%未満」に収まっており、賃貸需要も安定していると考えられます。
このため、長期投資が基本となる不動産投資では、東京都と沖縄県に投資することで長期的に安定した収益が期待できると言えます。
しかし、東京都は物件価格が非常に高く、参入のハードルが高くなっています。一方、沖縄県も地価が安いわけではないものの、 東京都と比較すればまだまだ安いです。
したがって、これから不動産投資を始めるならば、沖縄県が非常に適していると言えます。
地価が安い要素を抱えながらも地価は12位
では、沖縄県の地価はどれくらいなのでしょうか。
2018年の、各都道府県の公示地価ランキングを見てみると、下の表のようになっています。
公示地価 都道府県ランキング (2018年) | ||||
順位 | 都道府県 | 基準地価平均 | 坪単価平均 | 前年比 |
1位 | 東京都 | 102万9358円/m2 | 340万2839円/坪 | 6.21% |
2位 | 大阪府 | 27万2556円/m2 | 90万1014円/坪 | 6.11% |
3位 | 神奈川県 | 24万2398円/m2 | 80万1316円/坪 | 1.93% |
4位 | 京都府 | 21万8541円/m2 | 72万2450円/坪 | 7.01% |
5位 | 愛知県 | 18万0905円/m2 | 59万8035円/坪 | 5.75% |
6位 | 兵庫県 | 15万3412円/m2 | 50万7148円/坪 | 2.76% |
7位 | 埼玉県 | 15万2787円/m2 | 50万5083円/坪 | 2.04% |
8位 | 福岡県 | 13万9735円/m2 | 46万1934円/坪 | 7.50% |
9位 | 広島県 | 13万3807円/m2 | 44万2339円/坪 | 3.91% |
10位 | 千葉県 | 11万9485円/m2 | 39万4992円/坪 | 1.66% |
11位 | 宮城県 | 11万3278円/m2 | 37万4474円/坪 | 7.58% |
12位 | 沖縄県 | 10万5275円/m2 | 34万8017円/坪 | 6.74% |
東京都の 基準地価平均はとびぬけて高く、物件の取得単価も極めて高くなるため、不動産投資の参入ハードルが高いことが分かります。
これは、銀座の地価が世界でも屈指の高さを誇っていること、東京オリンピックの影響で大幅に上昇しているエリアが多数あることなどが原因となっています。
2位以下は、東京都よりも大きく下がりますが、埼玉・神奈川・千葉といった首都圏の県、博多・大阪・名古屋・仙台などの大都市圏を擁する府県が並んでいます。
京都府や兵庫県、千葉県といった地域も、県内総生産上位の常連であり、経済的な発展や人口の多さから、地価が高くなっていることが分かります。
しかし、12位にランクインしている沖縄県は、 県民所得は全国で最下位であり、アメリカ統治時代の影響が尾を引いていまだに 経済的な発展が遅れています。
人口も140万人程度で多いとは言えず、県庁所在地の那覇市も30万人程度の中都市であるほか、宜野湾市・沖縄市・うるま市・浦添市の4都市が10万人台となっています。
本来、地価が安い要素を多数抱えていながら、沖縄県の地価は高いランクとなっているのです。
1~11位の都道府県は、地価が高いことに違和感がないのですが、このようなランキングを始めて見たとき、沖縄県が12位であることに違和感を抱く人もいるでしょう。
沖縄の地価は東京都を上回る上昇率
さらに、公示地価の上昇率が前年比で5%以上になっている都道府県を見てみると、以下の表のようになっています。
公示地価 上昇率 都道府県ランキング 2018年[平成30年] | ||||
順位 | 都道府県 | 基準地価平均 | 坪単価平均 | 前年比 |
1位 | 宮城県 | 11万3278円/m2 | 37万4474円/坪 | 7.58% |
2位 | 福岡県 | 13万9735円/m2 | 46万1934円/坪 | 7.50% |
3位 | 京都府 | 21万8541円/m2 | 72万2450円/坪 | 7.01% |
4位 | 沖縄県 | 10万5275円/m2 | 34万8017円/坪 | 6.74% |
5位 | 北海道 | 5万6351円/m2 | 18万6287円/坪 | 6.46% |
6位 | 東京都 | 102万9358円/m2 | 340万2839円/坪 | 6.21% |
7位 | 大阪府 | 27万2556円/m2 | 90万1014円/坪 | 6.11% |
8位 | 愛知県 | 18万0905円/m2 | 59万8035円/坪 | 5.75% |
9位 | 熊本県 | 8万0027円/m2 | 26万4553円/坪 | 5.09% |
近年、沖縄県と北海道の地価の上昇率が目覚ましいとして話題になることが増えています。この表からも沖縄県の上昇ぶりがよくわかります。東京都を上回る上昇を見せているのです。
なお、地価の上昇率が高い宮城県・福岡県・京都府・北海道などと比較して、 沖縄県には賃貸不動産投資に向いている特殊な事情があります。
宮城県は、仙台エリアの上昇が目覚ましく、商業施設やホテルなどが盛んに再開発されています。
福岡県も、天神・博多地区の開発によって地価が上昇しており、京都府では観光需要によるホテル開発などが盛んです。
北海道も、ニセコ町や倶知安町などのリゾート開発が進んでおり、高級コンドミニアムなどが目立つようになっています。
このように、 地価が上昇している都道府県の多くでは、主に商業地域の地価が大きく上昇していることが分かります。
住宅地域の地価も、それにつられて上昇しているのですが、賃貸需要よりも商業需要の高まりが主軸であって、賃貸不動産投資に向いているとは言い切れません。
沖縄は賃貸需要が旺盛である
ところが、沖縄県は違います。確かに、沖縄県でも観光業は盛んであり、リゾート開発も進んでいます。しかし、それに劣らず賃貸需要が旺盛であり、 商業地域と住宅地域の両方で地価が大きく上昇しているのです。
沖縄県の住宅地域でも地価が上昇していることは、以下の表からよくわかります。
沖縄県の公示地価(2018年) | ||
基準地価平均 | 前年比 | |
沖縄平均 | 10万5275円/m2 | 6.74% |
那覇市平均 | 23万0131円/m2 | 11.39% |
宜野湾市平均 | 9万5914円/m2 | 8.77% |
浦添市平均 | 12万7211円/m2 | 7.34% |
豊見城市平均 | 8万3261円/m2 | 6.83% |
沖縄市平均 | 6万6256円/m2 | 6.02% |
うるま市平均 | 4万6280円/㎡ | 3.05% |
全国平均 | 20万6598円/㎡ | 0.60% |
このように沖縄県内でも人口が多く、なおかつ人口が続いている都市の全てにおいて、地価が大幅な上昇を見せており 宅地需要によって地価が上昇している様子がうかがえます。
うるま市は10万人都市であり、2016年の時点で賃貸物件が供給過剰気味とされていました。そのうるま市でも、賃貸物件の稼働率と賃貸需要が回復傾向にあることから、地価の上昇が続いています。
全国の平均的な上昇率と比較すれば、かなりの上昇率であることが分かります。沖縄県では、 宅地需要と商業需要がバランスよく高まっているのです。
市区町村別では10もの沖縄の市町村がランクイン
さらに、地価の上昇が著しい(前年比上昇率5%以上)の都市を見てみると、やはり沖縄県が特殊であることが分かります。
基準地価 上昇率 市町村ランキング 2018年[平成30年] | |||||
順位 | 都道府県 | 市町村 | 基準地価平均 | 坪単価平均 | 変動率 |
1位 | 北海道 | 倶知安町 | 3万1250円/m2 | 10万3305円/坪 | 33.31% |
2位 | 沖縄県 | 那覇市 | 23万0131円/m2 | 76万0765円/坪 | 11.39% |
3位 | 沖縄県 | 北谷町 | 9万5466円/m2 | 31万5592円/坪 | 9.48% |
4位 | 東京都 | 中央区 | 601万0310円/m2 | 1986万8794円/坪 | 9.22% |
5位 | 東京都 | 台東区 | 129万7375円/m2 | 428万8842円/坪 | 8.83% |
6位 | 沖縄県 | 宜野湾市 | 9万5914円/m2 | 31万7072円/坪 | 8.77% |
7位 | 東京都 | 荒川区 | 60万4000円/m2 | 199万6694円/坪 | 8.73% |
8位 | 福岡県 | 春日市 | 11万5391円/m2 | 38万1460円/坪 | 8.14% |
9位 | 東京都 | 北区 | 62万8173円/m2 | 207万6607円/坪 | 7.96% |
10位 | 宮城県 | 仙台市 | 23万7778円/m2 | 78万6045円/坪 | 7.49% |
11位 | 福岡県 | 大野城市 | 11万2291円/m2 | 37万1212円/坪 | 7.42% |
12位 | 沖縄県 | 浦添市 | 12万7211円/m2 | 42万0534円/坪 | 7.34% |
13位 | 東京都 | 豊島区 | 151万9045円/m2 | 502万1637円/坪 | 7.27% |
14位 | 東京都 | 文京区 | 118万3722円/m2 | 391万3131円/坪 | 7.24% |
15位 | 福岡県 | 志免町 | 7万5400円/m2 | 24万9256円/坪 | 7.21% |
16位 | 東京都 | 千代田区 | 490万7096円/m2 | 1622万1807円/坪 | 7.10% |
17位 | 東京都 | 港区 | 387万8750円/m2 | 1282万2314円/坪 | 7.08% |
17位 | 東京都 | 渋谷区 | 315万0384円/m2 | 1041万4494円/坪 | 7.08% |
19位 | 沖縄県 | 与那原町 | 6万0900円/m2 | 20万1322円/坪 | 6.99% |
20位 | 沖縄県 | 八重瀬町 | 5万6116円/m2 | 18万5509円/坪 | 6.98% |
21位 | 沖縄県 | 中城村 | 5万7366円/m2 | 18万9641円/坪 | 6.97% |
22位 | 北海道 | ニセコ町 | 1万2800円/m2 | 4万2314円/坪 | 6.85% |
23位 | 沖縄県 | 豊見城市 | 8万3261円/m2 | 27万5244円/坪 | 6.83% |
24位 | 福岡県 | 須恵町 | 4万7487円/m2 | 15万6983円/坪 | 6.73% |
25位 | 福岡県 | 福岡市 | 38万7362円/m2 | 128万0538円/坪 | 6.66% |
26位 | 東京都 | 墨田区 | 55万5894円/m2 | 183万7668円/坪 | 6.47% |
27位 | 沖縄県 | 読谷村 | 5万7760円/m2 | 19万0942円/坪 | 6.27% |
28位 | 東京都 | 新宿区 | 342万2150円/m2 | 1131万2892円/坪 | 6.15% |
29位 | 東京都 | 品川区 | 92万0347円/m2 | 304万2472円/坪 | 6.07% |
30位 | 東京都 | 江東区 | 57万4333円/m2 | 189万8622円/坪 | 6.06% |
31位 | 東京都 | 板橋区 | 52万3375円/m2 | 173万0165円/坪 | 6.04% |
32位 | 沖縄県 | 沖縄市 | 6万6256円/m2 | 21万9028円/坪 | 6.02% |
33位 | 北海道 | 札幌市 | 15万3065円/m2 | 50万6000円/坪 | 5.83% |
34位 | 京都府 | 京都市 | 40万2604円/m2 | 133万0924円/坪 | 5.73% |
35位 | 宮城県 | 名取市 | 5万9880円/m2 | 19万7950円/坪 | 5.70% |
36位 | 東京都 | 中野区 | 81万9428円/m2 | 270万8854円/坪 | 5.47% |
37位 | 東京都 | 杉並区 | 65万3743円/m2 | 216万1135円/坪 | 5.43% |
37位 | 広島県 | 府中町 | 15万9142円/m2 | 52万6092円/坪 | 5.43% |
39位 | 宮城県 | 岩沼市 | 3万6485円/m2 | 12万0613円/坪 | 5.38% |
40位 | 東京都 | 足立区 | 38万8693円/m2 | 128万4938円/坪 | 5.19% |
この表から、前年比で5%以上の上昇となっている市区町村を都道府県別に分けると、
- 東京都:17
- 沖縄県:10
- 福岡県:5
- 北海道:3
- 宮城県:3
- 京都府:1
- 広島県:1
という配分になります。
東京都は、東京オリンピックによる地価の上昇もあり、商業地域での地下上昇が盛んです。17の区がランクインしていることに違和感はありません。
沖縄県からは、10もの市町村がランクインしています。
盛んに開発されている那覇市では、 商業・住宅ともに需要が高く、大幅な上昇となっています。
宜野湾市は、沖縄県の人口が集中する中南部の中間にあり、 ベッドタウンとしてもリゾート地としても発展しています。
浦添市は那覇市と隣接しており、リゾート開発が行われていないこと、出生率が非常に高いことなどから、 純粋に住宅地域の需要が高まっていると言えます。
豊見城市は、2013年に県内の住みやすい街ランキングで1位となったこともあり、人口が増加しています。住宅地の需要増が地価上昇につながっています。
沖縄市も人口増加率が高く、住宅地域の需要が地価を押し上げています。
北谷町、与那原町、八重瀬町、中城村は、主に 商業需要の増加です。
北谷町は米軍基地の返還跡地の開発によって発展し、リゾートとしても人気があることから、商業需要が地価上昇につながっています。
与那原町は商業を中心に発展してきた歴史があり、現在もマリンタウンの発展を目指していることから、商業的な需要による地価上昇です。
八重瀬町も、那覇とつながる道路の整備が進んでいること、商業施設の立地が進んでいることから、商業地域での地価が上昇しています。中城村についても、商業地域で地価が上昇しています。
以上のように、 沖縄県では商業的な需要の増加もありつつ、しかし人口増加による宅地の需要増加も多いことによって、地価が上昇していることが分かります。
他の地域のように、開発事業による商業需要の増加によって、局所的に地価が大きく上昇しているだけであれば、そのエリアでの不動産投資は資金力のある企業やプロがひしめき合っており、個人での参入は困難です。
しかし、 沖縄県では住宅地域の需要も非常に多く、賃貸需要も旺盛です。だからこそ、個人の不動産投資でも十分に採算が取れるのです。
まとめ
全国の様々なエリアで地価が上昇しています。
しかし、上昇しているエリアを詳しく見てみると、商業的な開発によって地価が上昇しているケースが非常に多いことが分かります。
そのようなエリアでは、宅地需要ではなく 商業需要がメインですから、賃貸不動産投資には不適です。また、多くのプロが投資していることから、土地の転売などで儲けることも難しいです。
しかし、 沖縄県では商業需要だけではなく宅地需要も確実に伸びており、これが地価の上昇につながっています。
地価の上昇の様子から、沖縄での賃貸不動産投資が有望であることが分かるのです。