買うべき軍用地は米軍基地用地?自衛隊基地用地?
軍用地投資を検討するとき、必ず押さえておくべきポイントがあります。
それは、同じ軍用地でも、米軍基地用地に投資したほうが良いのか、自衛隊基地用地に投資したほうが良いのかということです。
軍用地投資の効率を最大化するためには、米軍基地と自衛隊基地の優劣をしっかり認識し、投資先を絞り込むことが重要です。
本稿では、この両者を比較し、軍用地投資へに適しているのはどちらであるかを明らかにしていきます。
目次
軍用地には二種類ある
沖縄県内には、米軍や自衛隊が基地を構えていますが、その土地の大部分は民間の地主の所有する土地です。
日米の外交上の取り決めにより、日本政府はその土地を地主から借り上げ、毎年借地料を支払うことで、軍用地として利用しています。
当サイトで紹介している軍用地投資とは、民間の地主が所有する軍用地を購入し、借地料を受け取る投資のことです。
一口に軍用地といっても、米軍が利用している米軍基地用地と、自衛隊が利用している自衛隊基地用地の二種類があります。
軍用地に投資する場合、どちらに投資するべきなのでしょうか。
これを考えるためには、米軍基地と自衛隊基地の双方について、投資効率をしっかり検討していく必要があります。
米軍基地と自衛隊基地の比較
では、米軍基地と自衛隊基地について、
- 借地単価
- 投資利回り
- 借地料の上昇率
の3点から検討してみましょう。
借地単価
まず、借地単価から比較してみましょう。
平成27年度における、米軍基地と自衛隊基地のそれぞれの借地単価は以下のようになっています。
米軍基地
軍用地面積:22992.1ha
年間の借地料:847億9800万円
1haあたりの借地単価:847億9800万円÷22992.1ha≒368万8136円
自衛隊基地
軍用地面積:694.4ha
年間の借地料:129億5200万円
1haあたりの借地単価:129億5200万円÷694.4ha≒1865万2074円
上記の計算から、借地単価は米軍基地よりも自衛隊基地のほうが高く、その差は約5倍にもなります。
これだけを見れば、軍用地投資は自衛隊基地を狙うべきだと言えます。
投資利回り
しかし、借地単価だけで結論を出すことはできません。
というのも、米軍基地は沖縄県内の複数エリアに分散して存在しているのに対し、自衛隊基地は航空自衛隊那覇基地や陸上自衛隊那覇駐屯地など、地価の高い那覇市に集中しているからです。
つまり、自衛隊基地に投資する場合、軍用地の購入価格が高くなるため、借地単価も高くなって当然なのです。
投資利回りで見てみると、米軍基地も自衛隊基地もほぼ同じになります。
投資利回りまで含めて考えると、借地単価が高いから自衛隊基地用地を買うべき、という単純な判断はできないことが分かります。
借地料の上昇率
そこで考えるべき第三のポイントは、借地料の上昇率です。
過去から現在に至るまで、軍用地の借地料は毎年増額されてきました。
軍用地の借り上げが始まってから現在に至るまで、平均的な借地料の伸び率は、毎年5%程度にものぼります。
借用量の予算は財政と密接な関係があるため、最近では伸び率は鈍くなってきており、毎年5%もの上昇が期待できるわけではありません。
しかしながら、今後も借地料はゆるやかに上昇していくとみられており、これが軍用地投資の大きな魅力にもなっています。
軍用地は、外交や国防の観点から、今後も政府が借り上げる状況が続き、借地料が安定して支払われます。
いわば、軍用地を買いさえすれば、安定したリターンが期待できます。
さらに、毎年借地料が上っていくならば、年々リターンは大きくなっていき、複利効果も得られるようになります。
もちろん、借地料が上昇して利回りが高くなれば、軍用地の価値は高まります。
売却の際には購入時よりも高値で売れる可能性も高く、借地料と同時に売却益も期待できるのです。
したがって、長期投資を前提としている軍用地投資では、年々高くなる借地料が大きな魅力となります。
米軍基地と自衛隊基地の双方で投資利回りがほぼ変わらないならば、それぞれの借地料の上昇率が決め手となります。
10年間での借地単価の上昇率を比較してみましょう。
米軍基地
【平成18年度】
軍用地面積:23667.5ha
年間の借地料:776億7000万円
1haあたりの借地単価:776臆7000万円÷23667.5ha≒328万1715円
【平成27年度】
(前述の計算から)
1haあたりの借地単価:368万8136円
→平成18~27年度の10年間での借地料の上昇率
=(368万8136円-328万1715円)÷328万1715円×100≒12.38%
自衛隊基地
【平成18年度】
軍用地面積:639.6ha
年間の借地料:110億9400万円
1haあたりの借地単価:110億9400万円÷639.6ha≒1734万5215円
【平成27年度】
(前述の計算から)
1haあたりの借地単価:1865万2074円
→平成18~27年度の10年間での借地料の上昇率
=(1865万2074円-1734万5215円)÷1734万5215円×100≒7.54%
以上のように、10年間での借地料の上昇率で比較してみると、自衛隊基地よりも米軍基地のほうが約1.64倍も高いことが分かります。
このような上昇率の差は、自衛隊基地に比べて米軍基地のほうが、地元住民に与える影響が大きいことが理由です。
地元住民への補償として、米軍基地用地の借地料は高めの上昇率となっています。
結論
米軍基地と自衛隊基地について、借地単価、投資利回り、借地料の上昇率の3点から比較した結果、借地単価と投資利回りでは優劣がつかず、借地料の上昇率では明らかに米軍基地のほうが高いことが分かりました。
このことから、軍用地投資の対象としては、米軍基地のほうが優れていることが分かります。
これを具体例で考えてみると、双方の投資効率に大きな差があることが分かります。
以下の条件で比較してみましょう。
【米軍基地】
取得価格:1000万円
年間の借地料:30万円(年間利回り3%)
1年あたりの借地料の上昇率:1.238%
【自衛隊基地】
取得単価:5000万円
年間の借地料:150万円(年間利回り3%)
1年あたりの借地料の上昇率:0.754%
(※この例の取得価格と年間の借地料は、自衛隊基地と米軍基地の借地単価の5倍の差を単純に反映したものであり、実際の相場を反映したものではありません。)
この条件で、米軍基地と自衛隊基地に30年間投資し続けた場合、借地料は以下のように推移していきます。
(単位:万円) | ||
借地料 | ||
米軍基地 | 自衛隊基地 | |
1年目 | 30.00 | 150.00 |
2年目 | 30.37 | 151.13 |
3年目 | 30.75 | 152.27 |
4年目 | 31.13 | 153.42 |
5年目 | 31.51 | 154.58 |
6年目 | 31.90 | 155.74 |
7年目 | 32.30 | 156.92 |
8年目 | 32.70 | 158.10 |
9年目 | 33.10 | 159.29 |
10年目 | 33.51 | 160.49 |
11年目 | 33.93 | 161.70 |
12年目 | 34.35 | 162.92 |
13年目 | 34.77 | 164.15 |
14年目 | 35.20 | 165.39 |
15年目 | 35.64 | 166.63 |
16年目 | 36.08 | 167.89 |
17年目 | 36.53 | 169.16 |
18年目 | 36.98 | 170.43 |
19年目 | 37.44 | 171.72 |
20年目 | 37.90 | 173.01 |
21年目 | 38.37 | 174.32 |
22年目 | 38.85 | 175.63 |
23年目 | 39.33 | 176.95 |
24年目 | 39.81 | 178.29 |
25年目 | 40.31 | 179.63 |
26年目 | 40.80 | 180.99 |
27年目 | 41.31 | 182.35 |
28年目 | 41.82 | 183.73 |
29年目 | 42.34 | 185.11 |
30年目 | 42.86 | 186.51 |
この表から、米軍基地と自衛隊基地のそれぞれの借地料の上昇率は、
米軍基地:(42.86-30.00)÷30.00×100≒42.88%
自衛隊基地:(186.51-150.00)÷150.00×100≒24.34%
となります。
つまり、米軍基地のほうが約1.76倍の上昇率となっているのです。
もし、米軍基地の軍用地を5000万円分取得し、取得単価の条件を双方同じとした場合、30年後の借地料は米軍基地214.32万円、自衛隊基地186.51万円となることからも、米軍基地のほうが優れていることが分かります。
なお、上記の説明において、10年間での借地料の上昇率は、約1.64倍の差となりました。
30年間で考えた場合には約1.76倍の差が生じており、徐々に差が広がっていきます。
投資期間が長くなればなるほど、この差は広がっていきます。
長期投資を前提とした軍用地投資だからこそ、長期的に大きな利益が得るために、米軍基地の軍用地を狙っていくべきと言えます。
まとめ
そもそも、軍用地投資とは、
- 軍用地投資は非常に安定しており、長期投資を前提としている
- 軍用地の借地料は年々上昇しており、投資期間が長くなればなるほど利回りは良くなり、軍用地の価値も上昇する
という特徴を持っています。
この特徴を最大限に生かすためには、
- 借地料の上昇率は、自衛隊基地よりも米軍基地のほうが高いため、長期投資を前提とする軍用地投資においては、米軍基地のほうが優れている
という、米軍基地と自衛隊基地の優劣をしっかりと認識することが大切です。
投資にあたっては、米軍基地の軍用地を狙うようにしましょう。