働きながら経験を積み、沖縄での起業に成功した実例

起業に失敗する大きな理由の一つに、経験が乏しいことが挙げられます。

十分な経験を積んでいても、起業に失敗する人はたくさんいます。

ですから、経験が乏しい、ましてや未経験であれば、失敗に終わる可能性が高いです。

沖縄ビジネスでの起業も同様です。

経験が豊富であるに越したことはなく、起業の準備段階で経験を積むことにより、成功の確率を高めることができます。

本稿では、起業を目指して沖縄で働き、成功を収めた人の実例を紹介します。

起業を目指して働くメリット

起業について考えるとき、全く未経験の分野にいきなり挑戦するイメージを抱く人がいます。

例えば、

飲食業は全くの未経験だったが、料理の腕に自信があるので仕事にしたいと思い、レストランを開業した

といったイメージです。

沖縄ビジネスでいえば、

飲食業は全くの未経験だが、沖縄でソーキそば屋を始めたら儲かりそうなので起業したい

といったケースが見られます。

しかし、 経験がある人でさえ、起業に成功するケースよりも失敗するケースのほうが圧倒的に多く、全くの未経験であればなおさらです。

趣味としての経験がいくら豊富でも、玄人はだしの腕前を持っていても、趣味と仕事では大きく異なり、想定外の問題に対処できないのです。

沖縄観光ビジネスでも、未経験の業種で起業したいと考えているならば、事前に経験を積むに越したことはありません。

また、その業種の経験があったとしても、沖縄でのビジネスが未経験であれば、沖縄独自の考え方や文化、商習慣などを学ぶために経験を積みたいところです。

そこでおすすめしたいのが、沖縄で実際に働いてみることです。

体験型ビジネスで起業したいと考えているならば、 スキューバダイビングやトレッキングなどを企画・運営している会社で実際に働いてみることで、起業に必要な知識やスキルを身につけることができます。

未経験で起業するリスクを避けると同時に、成功の素地を作るには、実際に働いてみるのが最も効果的な方法であり、具体的で確実な準備であるといえます。

※起業を目指して働くメリットについて、詳しくはこちら

沖縄観光ビジネスで起業するなら、働きながら準備するのもアリ

※就職先の探し方と注意点について、詳しくはこちら

起業準備のための就職先はどう選ぶ?チェックポイントと面接で伝えるべきこと

働くことで起業に成功した具体例

実際に働くことで経験を積み、沖縄での起業に成功したKさんの実例を見てみましょう。

起業の動機

Kは私の大学時代の後輩で、大学時代はスキューバダイビングのサークルに所属していました。

大分県の出身で、沖縄には縁がなかったものの、沖縄での起業を志し、今では体験型ビジネスの代表であるスキューバダイビングのツアーを手掛けています。

Kは大学時代、経済学や経営学を学んだわけではありません。

航空関連の学部に所属しており、卒業後は航空機を製造する中小企業に就職しました。

つまり、趣味としての経験はあるものの、ビジネスとしての経験は全くない典型的な例です。

私とKは、学年だけではなく学部も違ったのですが、互いにお酒が好きだったため、在学中はよく一緒に飲んでいました。

卒業後、Kは就職のために遠くに引っ越したため会う機会は減りましたが、今でもよくテレビ電話をしながら飲む仲です。

Kの卒業から5年ほど経った頃、テレビ電話越しに飲んでいると、Kから「仕事が楽しくない」という悩みをよく聞くようになりました。

私が「じゃあ転職すれば?今の仕事、一生やっていくのは嫌なんだろ?転職するなら早いほうがいいし、好きなことやったらいい」と言い、何がやりたいか聞いてみると、「好きなことをして暮らせたら、それが一番理想」とのこと。

興味を持てない仕事に時間を取られ、趣味のスキューバダイビングもろくにできない日々に嫌気がさしていたようです。

そこで、「 スキューバダイビングを仕事にしたらいい。趣味と同じ感覚じゃ失敗するけど、趣味から仕事に引き上げることはできるよ」とアドバイスしました。

Kは、学生時代にスキューバダイビングのライセンスも取得していたため、自らガイドを勤めることも可能でしょう。

スキューバダイビング関連のツアーであれば企画・運営できると考えたのです。

Kは、趣味を仕事にするなど夢物語と思っていたようで、「そんな人生に憧れます。どうやったらいいですか?」と興味を示しました。

私は、当サイトで解説しているのと同じことをKに話し、沖縄観光ビジネスの魅力を語りました。

テレビ電話越しに飲みながら沖縄ビジネスについて話し合うにつれ、Kは水を得た魚のようにイキイキとしてきました。

起業の準備を進める

沖縄観光ビジネスに興味を抱いたものの、Kには起業経験はおろか、観光業で働いた経験もなければ、沖縄とは全くの無縁です。

多くの人と同様に、「具体的にどうすればいいですか?」という問題に至りました。

そこで、まずはゴールデンウィークやお盆、年末年始などのまとまった休暇で、沖縄のスキューバダイビングツアーに参加し、調査することを勧めました。

調査の方法については、以下の記事と同じ方法を教えました。

沖縄観光ビジネスを始めるには下見が大切!下見の方法を徹底解説

Kは、ツアーに参加するたびに、調査の結果を私に伝えたため、不足があればその都度アドバイスし、調査は二人三脚で進みました。

調査によって多くの情報が集まり、大まかな計画も立てたのですが、やはりいざ起業するとなるとKも不安を拭いきれませんでした。

私も、後輩の人生を左右する問題ですから、「この調査と計画で大丈夫だ!」と太鼓判を押すことができません。

最大の欠点は未経験であることだったので、「本当に今の仕事に未練はないの?起業したいの?」と念を押したうえで、実際に働いて経験してみることを勧めました。

Kは、すぐにでも当時の仕事を辞めたいと考えていました。

辞めるための具体的な理由が見つからなかっただけだったのです。

また、いずれそうなる可能性を踏まえて、私はKが調査するにあたって、「自分がそこで働くっていう目線で、スタッフの雰囲気、顧客対応、道具を観察してみるといいよ」とアドバイスしていました。

そのため、調査段階で良いと思える業者を複数みつけていました。

それらの業者に電話で相談するにあたり、「沖縄観光ビジネスに興味があり、いずれ独立することを踏まえて働かせてほしい、雇用条件も多くは望まない」ということをしっかり伝えました。

独立希望者を受け入れない会社から断られることも覚悟していたのですが、幸いにも最初に相談した会社(以下、A社)が興味を示しました。

とりあえず面談することとなり、Kはそれまでほとんど消化していなかった有給休暇を使い、すぐにA社を訪ねました。

A社の社長は大変に理解のある人でした。

独立を前提として、その場で雇うことを決めたのです。

Kはすでにライセンスを持っていたので、即戦力になるという期待もあったのでしょう。

まもなく、Kは勤めていた会社を辞め、転職しました。

A社のレベルは高く、求められることも多く、なおかつ雇用条件も十分ではなかったものの、毎日好きなことができ、起業に希望を抱いていたため、何ら不満はありませんでした。

その間の給料はギリギリ生活できる程度でしたが、以前勤めていた頃の貯金が十分にあった(忙しすぎてお金を使う暇もあまりなかった)ため、生活に困ることはありませんでした。

仕事もすぐに覚え、社長の期待通り即戦力として働きました。

社長からも気に入られ、よく2人きりで飲みながら、起業に必要なことを吸収していきました。

私とKは、修行中もしばしばテレビ電話越しに飲みましたが、 仕事に不満を抱いていた時期より、はるかに活き活きしていたのが印象的です。

Kが修行した期間は、2年間でした。

K自身が十分に学んだことを実感し、社長からも「必要なことは全部教えた」とお墨付きをもらえたので、いよいよ起業に移りました。

起業に成功

起業に伴う実務的なことは、話がそれるため割愛しますが、起業後は比較的スムーズに軌道に乗りました。

起業して間もない頃は、顧客の獲得に苦労するもので、業績が安定せずに資金難に陥ることも珍しくありません。

しかしKの場合は、この苦労が少なくて済みました。

A社の社長が起業後も支援してくれたためです。

A社のツアーは人気があり、予約に対応しきれないことも良くありました。

そこで、社長はKの起業した会社と提携し、対応しきれない顧客を紹介してくれるようになったのです。

A社の顧客は、A社同様に質の高いサービスを求めていました。

十分な修行を積んだKは、A社と同じレベルのサービスを提供することができたため、顧客を十分に満足させることができ、リピーターも増えていきました。

このような流れで、あまり困難なく軌道に乗せることができたのです。その後も大きな問題はなく、安定した収益をあげています。

まとめ

本稿では、私の身近な人が沖縄での起業に成功した事例を紹介しました。

Kの成功には、A社の社長に助けられた部分も大きく、これから沖縄観光ビジネスを志す全ての人がこのようにうまく行くとは限らないでしょう。

しかし、Kが起業準備の流れ、すなわち、

  1. 多くのツアーに参加して、調査を重ねること
  2. 調査の中で良いと思える業者で、実際に働いてみること

という流れは、これから沖縄で起業する多くの人が真似できる方法です。

このように準備すれば、Kのように観光業の経験がなく、沖縄と全くの無縁であったとしても、起業に成功する確率を大きく高められるはずです。

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