沖縄で木造物件が増えている真実に迫る!沖縄不動産投資への影響

沖縄のローカルニュースを見ていると、沖縄県内で急速に木造物件が増えているといった話題を目にすることがあります。

沖縄不動産投資では、鉄筋コンクリート造に投資するものと考えますが、木造物件の増加は無視しても良いものなのでしょうか。

本稿では、 沖縄における木造物件の増加と、沖縄不動産投資への影響を解説していきます。

 

RC造が多い沖縄県で木造物件が増加している事実

沖縄不動産投資に興味を持って色々調べているうちに、「沖縄県でも木造物件が増えている」という話題を耳にした人がいるかもしれません。

当サイトでは、「沖縄不動産投資では木造物件ではなく、鉄筋コンクリート造に投資することになる、なぜならば沖縄の不動産はほとんどが鉄筋コンクリート造だから」と、事あるごとに解説してきました。

 

沖縄県のほとんどの物件が鉄筋コンクリート造である理由は、沖縄では台風やシロアリの被害が多く、強度の高い鉄筋コンクリート造が好都合だからです。

しかし、沖縄県で木造物件が増えているのも事実です。これはいったいどういうことなのでしょうか。

 

一戸建てで木造が増えている

確かに沖縄県内では木造物件の比率が増えており、このことは以下の表からも分かります。これは、沖縄県木材協会構造別の新築住宅着工統計です。

年(平成) 鉄筋コンクリート造 コンクリートブロック造 木造 鉄骨造 鉄骨鉄筋コンクリート造 その他 合計
13 戸数 11,909 379 153 594 311 118 13,464
比率 88.50% 2.80% 1.10% 4.40% 2.30% 0.90% 100%
14 戸数 12,081 378 163 658 380 12 13,672
比率 88.40% 2.80% 1.20% 4.80% 2.80% 0.10% 100%
15 戸数 12,253 346 240 467 545 21 13,872
比率 88.30% 2.50% 1.70% 3.40% 3.90% 0.20% 100%
16 戸数 11,783 932 164 433 163 27 13,502
比率 87.30% 6.90% 1.20% 3.20% 1.20% 0.20% 100%
17 戸数 13,303 342 177 352 292 37 14,503
比率 91.70% 2.40% 1.20% 2.40% 2.00% 0.30% 100%
18 戸数 15,150 338 206 355 200 17 16,266
比率 93.10% 2.10% 1.30% 2.20% 1.20% 0.10% 100%
19 戸数 9,975 307 184 334 59 17 10,876
比率 91.70% 2.80% 1.70% 3.10% 0.50% 0.20% 100%
20 戸数 11,426 384 164 267 49 10 12,300
比率 92.90% 3.10% 1.30% 2.20% 0.40% 0.10% 100%
21 戸数 10,509 491 291 304 134 18 11,747
比率 89.50% 4.20% 2.50% 2.60% 1.10% 0.20% 100%
22 戸数 9,470 581 319 266 32 41 10,709
比率 88.40% 5.40% 3.00% 2.50% 0.30% 0.40% 100%
23 戸数 10,335 629 530 275 27 32 11,828
比率 87.40% 5.30% 4.50% 2.30% 0.20% 0.30% 100%
24 戸数 10,931 778 579 353 16 56 12,713
比率 86.00% 6.10% 4.60% 2.80% 0.10% 0.40% 100%
25 戸数 14,636 883 607 313 124 55 16,618
比率 88.10% 5.30% 3.70% 1.90% 0.70% 0.30% 100%
26 戸数 13,904 719 515 208 62 18 15,426
比率 90.10% 4.70% 3.30% 1.30% 0.40% 0.10% 100%
27 戸数 14,232 737 791 208 141 27 16,136
比率 88.20% 4.60% 4.90% 1.30% 0.90% 0.20% 100%
28 戸数 14,034 740 896 386 143 2 16,201
比率 86.60% 4.60% 5.50% 2.40% 0.90% 0.00% 100%
29 戸数 14,381 666 1,161 229 127 27 16,591
比率 86.70% 4.00% 7.00% 1.40% 0.80% 0.10% 100%
30 戸数 14,040 642 1,627 338 145 11 16,803
比率 83.60% 3.80% 9.70% 2.00% 0.90% 0.10% 100%

この表によれば、全体に占める木造物件の割合は増加傾向にあり、平成28年には5%を超えており、平成30年に至っては10%に迫っていることが分かります。

しかし「木造か木造ではないか」という分け方をすれば、木造の比率はまだ1割未満にすぎません。

さらに木造物件の比率をこのように押し上げて要因は、 ほとんどが一戸建てにおける木造物件の増加です。

 

かつては一戸建てにおいても木造の比率は非常に低かったのですが、近年は急速に木造物件の割合が増えています。

平成20年までは5~6%程度で推移していたのですが、その後にわかに人気が高まり「平成27年には20%を超え、平成30年には35.8%」という高い割合となっています。

このような急速な普及のインパクトが強かったことで、木造物件が増えていると話題になっているのです。

 

木造物件のメリットを検証

高温多湿の沖縄では、鉄筋コンクリート造よりも木造のほうが気候的には適しています。

最近では、技術の進歩によって木造建築の強度が高まっており、木造一戸建て住宅でも台風の被害を心配する必要はなくなっています。

また、木造物件の増加に伴ってシロアリ対策に力を入れるメーカーも増えているため、シロアリ被害も以前ほど深刻ではなくなりつつあります。

 

建築コストが安いとされるが大した差はない

このほか、 リフォームが比較的容易であること、そして筋コンクリート造に比べて建築コストが安いこともメリットとされています。

しかし、建築コストについては否定的なデータもあります。
鉄筋や生コンの価格が高騰したことによって、鉄筋コンクリート造よりも木造のほうが安いとされています。

しかし2017年における一戸あたりの工事費予定額を構造別に見てみると、以下のようにあまり変わらない結果となっているのです。

(単位:万円)

木造
(平均面積108.2㎡)
1㎡あたり工事費 鉄筋コンクリート造
(平均面積130.7㎡)
1㎡あたり工事費
2011 1749 16.2 2435 18.6
2012 1728 16.0 2388 18.3
2013 1877 17.3 2465 18.9
2014 1867 17.3 2601 19.9
2015 2042 18.9 2704 20.7
2016 1960 18.1 2884 22.1
2017 2158 19.9 2837 21.7

この表の通り、2017年における1㎡あたりの工事費は「木造で19.9万円、鉄筋コンクリート造で21.7万円」となっており、 それほど差がないことが分かります。

 

取得単価でのシミュレーション

新築一戸建ての具体的な取得単価で考えてみても、このことがよくわかります。

那覇市内(最新の公示価格で坪単価76万円)で40坪の土地を3040万円で購入し、木造物件と鉄筋コンクリート造物件をそれぞれ30坪として建築した場合
木造ならば約5000万円、鉄筋コンクリート造ならば約5200万円の計算となります。

実際の取得単価でもそれほど大きな差は生じないため、「木造は安い」というメリットはそれほど大きなものではなくなりつつあります。

 

 

木造物件の増加は不動産投資と無関係である

また、いくら木造物件が増えていると言っても、これはあくまでも一戸建て住宅においてのことであり、アパートやマンションといった共同住宅ではほとんど木造が行われていません。

実際、沖縄県木材協会のホームページでも「木造の共同住宅は、平成28年48戸、平成29年119戸、平成30年297戸建築されております。」と発表されています。

総着工数 うち木造共同住宅 割合
平成28年 16201 48 0.30%
平成29年 16591 119 0.72%
平成30年 16803 297 1.77%

それによれば、こういう計算となり「木造の共同住宅が非常に少ない」ことが分かります。
平成30年の木造の共同住宅は全体のわずか1.77%にすぎません。

沖縄不動産投資ではほとんど流通しておらず、割高な一戸建て住宅を投資対象とは考えません。いくら木造の一戸建てが増えていると言っても、沖縄不動産投資には無関係です。

 

また、共同住宅においても、木造住宅はほとんどありません。

最近になって わずかにみられるようになった程度ですから、中古アパートで木造物件に投資する機会はなく、この意味でも沖縄不動産投資と木造物件は無縁なのです。

 

共同住宅の木造物件が増える可能性

ただし今後木造物件が急速に増え、アパートなどでも木造が増えていくとすれば、木造物件に投資する機会も徐々に出てくるかもしれません。

とはいえ、いくら技術が進歩したとはいえ、木造の強度は鉄筋コンクリート造には遠く及びません。一戸建てならばまだしも、台風が多い沖縄では共同住宅で木造物件はなかなか増えないと思います。

 

さらに沖縄は土地の面積が狭いため、増え続ける賃貸需要を限られた面積によってカバーしていく必要があります。

そのため、高層木造建築の技術を使っても4階くらいまでしか建てられない木造物件よりも、鉄筋コンクリート造によって高層マンションを作り、 戸数を稼いだほうが効率的です。

このような意味でも、沖縄の共同住宅では木造物件の普及する余地が少ないため、今後も沖縄不動産投資では鉄筋コンクリート造メインで考えて問題ないでしょう。

 

まとめ

沖縄県で増加している木造物件は、 そのほとんどが一戸建てでの増加です。

共同住宅での木造は非常に少なく、今後も増えていく可能性は低いため、沖縄不動産投資を進めていく上で木造物件の存在を考慮する必要はありません。

「木造物件は高温多湿の気候に良いから、木造アパートに投資したい」などと考えるよりも、 鉄筋コンクリート造を購入するのが普通だと考えて、日当たりの良い物件を探すなどの工夫をしたほうが良いのです。

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