リセールバリューに見る、価値が下がりにくい沖縄不動産の強み
不動産投資で成功するためには、出口戦略を見据えた投資が必要です。
売却価格が高ければ最終的な利回りを大きく高めることができるのに対し、 売却価格が低ければ、利回りを損なうこととなります。
特に、沖縄不動産は賃貸利回りがそれほど高くないことがデメリットとされます。
もし、売却で失敗すれば、少ない賃料収入を損ない、失敗に終わる危険性もあります。
しかし、実際には、 沖縄不動産は価値が下がりにくく、売却益を得られる可能性も高いため、賃貸利回りの低さを補って余りある魅力があります。
本稿では、出口戦略を見据えて沖縄不動産投資に取り組むために、沖縄不動産のリセールバリューを見ていきます。
目次
出口戦略の重要性
不動産投資を始めるとき、多くの人はインカムゲインに注目します。インカムゲインとは、その投資対象から長期的・安定的に期待できる収益のことであり、不動産投資では賃料収入がこれにあたります。
確かに、不動産を短期で転売するのではなく、賃貸経営によって資産を運用するならば、インカムゲインは重要です。
賃貸経営で利益が見込めない、赤字になるような物件には投資すべきではありませんし、そのような物件では融資も受けられない可能性が高く、現実的ではありません。
しかし、投資時点で期待できるインカムゲインだけに注目すれば、 最終的な利回りを損なうこともあります。
この点は、不動産投資に取り組む上で非常に重要です。
もし、売却価格が購入価格より大幅に下がっていれば、ローンの残債を一括返済できなかったり、せっかく積み上げた賃料収入を大きく損なったり、場合によっては 最終的な損益がマイナスになる可能性もあるからです。
特に、沖縄不動産投資においては、売却を出口に見据えた戦略が欠かせません。
近年、沖縄不動産の人気が急速に高まっており、不動産価格が上昇を続けているため、賃貸利回りが相対的に低下しています。
これは、賃貸利回りが低くとも、売却時に値上がりが期待できることで十分にカバーできることの証左でもあります。
しかし、投資期間に積み上げられる賃料収入はそれほど大きくないため、 もし購入時に出口戦略を立てておらず、売却価格が購入価格を下回った場合、最終的な運用成績が極端に悪化する恐れもあるのです。
したがって、沖縄不動産投資に取り組むならば、できるだけ多くのインカムゲインが得られる物件を選ぶと同時に、今後も値上がりが期待できる物件に投資し、売却時にも利益が得られる物件を選ぶことが重要と言えます。
出口戦略を含めたシミュレーション
売却価格が、最終的な利回りに与える影響を知るべく、以下の条件でシミュレーションしてみましょう。
- 物件価格:5000万円
- 諸経費:350万円(物件価格の7%を想定)
- 頭金:1850万円(物件価格の3割+諸経費)
- ローン総額:3500万円
- 融資条件:金利2%、元利均等返済、返済期間25年
- 表面利回り:10%(満室時に賃料収入総額)
- 経費率:30%(空室時の減収も含む)
※運用期間は10年間、賃料の下落は見込まないものとする。
この物件から得られる賃料は、満室時に500万円の賃料収入が得られます。
もっとも、実際の賃貸経営では様々な経費が必要であり、時には空室も発生するため、それらによる支出を年間30%として見込んだ場合、年間の賃料収入は350万円となります。
ここから、上記の条件でローンを返済していくことになります。
この場合、年間の元利返済額は179万2715円となるため、返済後の税引前キャッシュフローは170万7285円となります。
さて、この物件を10年間にわたって運用したとき、賃料から得られた利益の総額は約1700万円です。
10年後、ローンの残債は約2170万円です。
もし、10年後に売却したとき、売却価格が購入時と変わらない5000万円であれば、ローンの残債を一括返済でき、なおかつ購入時の頭金である1850万円も回収できます。
ローン残債と頭金の合計は約4020万円です。
したがって、10年間の運用で得られる利益の総額は、売却価格との差額980万円と、10年間の賃料収入総額1700万円の合計2620万円となります。
10年間の運用成績をみれば、5350万円の投資に対して2620万円の利益ですから、年間平均で4.90%の利回りとなります。
売却価格が低ければ・・・
では、10年間のうちに物件価格が下落しており、売却価格が購入価格の70%(3500万円)に下落していた場合はどうでしょうか。
この時、ローンの残債と頭金の合計である4020万円を、3500万円の売却価格でペイすることができません。
残債が残っている状態であれば、一括返済しなければ売却できないため、売却額からこれを優先的に支払います。
この時、売却額の手残りは1330万円であり、当初の頭金1850万円を520万円下回ります。
10年間の賃料収入総額である1700万円と、売却額の手残り1330万円の合計は2030万円となるため、10年間における運用成績は、年間平均で3.79%に低下します。
不動産投資は売却まで見据える
以上のシミュレーションから、売却価格が利回りに与える影響がよくわかると思います。
売却価格が購入価格と同程度であるのはもちろんのこと、購入価格を上回って売却益が得られれば、運用成績を高めることができます。
もちろん、土地の価格は維持されやすく、上昇が期待できる場合も多いのですが、建物の価格は経年劣化によって価値が減少するのが普通です。
しかし、土地の価格が上昇することによって、建物価格の減少分をカバーできたり、管理状態や入居率が良好であることによって、建物価格が落ちにくくなるケースは良くみられます。
したがって、売却価格が購入価格を下回ることが多いとしても、それを当然と考えて受け入れるのではなく、できるだけ下落を軽微に留めること、できれば 購入価格を上回ることを目標とすることが大切です。
賃貸利回りがそれほど多くない沖縄不動産投資では、出口戦略が特に欠かせないのです。
リセールバリューとは?
出口を見据えた不動産投資では、資産価値が高い物件に投資する必要があります。一般的に、高い価値を持つ不動産は値下がりしにくいためです。
これが、株式投資などになれば、やや事情が異なります。
これは、株価が企業の業績次第で大きく変わるほか、その時々の流行によって変動し、本来の価値を正しく反映しないこともあるためです。購入時点で価値が低い株に投資した結果、やがて価値が高まる可能性もあります。
しかし、不動産投資は実需と強く結びつく投資であり、本来の価値を正しく反映していることが多いです。
価値が低い不動産には、 地価の伸びしろがない、 賃貸需要が見込まれにくいなど、 何らかの理由があるものです。
当然ながら、価値が低い不動産は、そのエリアが再開発の対象になるなどの大きな要素がない限り、価値の上昇は見込みにくく、経年による価値の低下を受ける可能性が高いです。
特に、過疎化が進んでいるなどの理由から価値が低い場合、その後も過疎化の影響を受け続け、価値がより大きく低下するでしょう。
そこで、購入時点で資産価値が高い不動産に投資することが重要であり、そのためには、 「リセールバリュー」を知ることが手掛かりとなります。
リセールバリューとは「再販売価値」を表す指標であり、新築時の価格を100としたとき、10年後にいくらで売れるかを数値化したものです。
具体的には、 【中古流通価格÷新築価格×100】として算出します。
リセールバリューが100であれば、10年後の再販売価格は新築時と変わっておらず、100を上回っている場合には、数値が高ければ高いほど高値で売ることができます。
したがって、 リセールバリューが高い不動産ほど、資産価値が高いと考えます。
なお、リセールバリューは、不動産投資だけに用いる指標ではありません。
代表的なものは中古車であり、車種、色、年式、走行距離などからリセールバリューを算出しています。
実際に、中古車販売店ではリセールバリューのデータを保有しており、これを売買の基準としています。
不動産において、リセールバリューの概念が導入されたのは最近のことです。これは、日本においては、購入した物件に一生涯にわたって住み続けるという考え方が根強く、購入時に売却を見据えて資産価値を考えることが少なかったためです。
しかしながら、今では不動産投資でもリセールバリューが浸透しつつあります。
今後、沖縄不動産投資に投資する人も、リセールバリューをしっかり考えていくべきです。
沖縄不動産のリセールバリューは?
不動産の資産価値を左右する要素は多岐にわたりますが、不動産の価値が土地と建物の合計によって測られる以上、対象となる不動産の地価と建物の価格動向に左右されます。
これらの要素はエリアによって大きく異なるため、エリアごとのリセールバリューを比較することで、資産価値の低いエリアでの投資を避け、資産価値の高いエリアを選んで投資することができます。
では、沖縄不動産のリセールバリューはどうなのでしょうか。
もし、リセールバリューが高ければ、沖縄不動産への投資を検討する価値があると言えます。
そこで、一般的に不動産投資の対象となりやすい 首都圏、近畿圏、中部圏のリセールバリューを、沖縄県のリセールバリューと比較してみましょう。
首都圏のリセールバリュー
まず、首都圏のリセールバリューを見てみましょう。
首都圏のなかでも、東京は地価が非常に高く、賃貸需要も堅調であり、不動産投資に向いているエリアと言えます。オリンピック関連の特需も生まれており、地価の上昇は目覚ましく、公示価格の推移をみても極めて好調です。
東京都以外にも、一都三県に含まれる千葉県・神奈川県・埼玉県は人口が多く、賃貸需要も堅調であり、県内経済も好調であることから、投資対象に選ばれやすいです。
したがって、首都圏の不動産は、平均的に高いリセールバリューが見込まれると考えられます。
実際に、首都圏のリセールバリューを分析してみると、以下のような結果となります。
2004 | 2005 | 2006 | 2007 | 2008 | 2009 | 2010 | 2011 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | |
新築 | 195.8 | 192.5 | 202.2 | 226.1 | 233.7 | 240.4 | 233.9 | 234.6 | 238.0 | 247.2 | 261.0 | 285.9 | 294.2 | 306.6 | 313.4 |
中古 | 110.9 | 114.3 | 123.5 | 152.9 | 163.2 | 149.8 | 164.7 | 166.0 | 158.6 | 161.3 | 180.2 | 209.4 | 214.9 | 199.2 | 205.0 |
上記の表は、2004~2018年における、新築マンションと中古マンションの坪単価(単位:万円)をまとめたものです。
これをもとに分析すると、首都圏のリセールバリューは、
リセールバリュー | |
2004年比 | 82.38 |
2005年比 | 93.61 |
2006年比 | 103.56 |
2007年比 | 95.05 |
2008年比 | 85.24 |
2009年比 | 85.27 |
となります。
不動産価格が上昇を続けていることから、首都圏は不動産投資に適していると考えられているものの、リセールバリューが100を上回る期間は少なく、売却価格が購入価格を下回る局面も多いことが分かります。
ただし、リセールバリューが100を大きく下回ることはなく、それなりに堅実な投資ができるエリアとも考えられます。
近畿圏のリセールバリュー
では、近畿圏のリセールバリューはどうでしょうか。
近畿圏では、特に大阪が不動産投資に適したエリアと見られることが多いです。
大阪は人口が多いため賃貸需要も堅調であり、地価の上昇も見込まれます。経済規模が大きく、副首都構想(日本の首都である東京都が機能しなくなった事態に備えて、副首都を建設する構想)の最有力地でもあります。
大阪府の他にも、兵庫県や京都府などを擁しており、近畿圏への不動産投資を検討している人もいることでしょう。
では、近畿圏のリセールバリューはどうでしょうか。首都圏と同様に分析すると、以下のようになります。
2004 | 2005 | 2006 | 2007 | 2008 | 2009 | 2010 | 2011 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | |
新築 | 142.9 | 143.6 | 150.8 | 159.5 | 163.4 | 163.4 | 171.1 | 170.0 | 169.8 | 174.9 | 188.3 | 202.5 | 215.9 | 218.1 | 226.7 |
中古 | 70.5 | 77.2 | 83.4 | 93.3 | 102.4 | 100.5 | 104.8 | 111.2 | 109.7 | 115.0 | 122.7 | 130.5 | 148.7 | 143.3 | 139.4 |
上記の表から、近畿圏のリセールバリューは、
リセールバリュー | |
2004年比 | 80.48 |
2005年比 | 85.45 |
2006年比 | 86.54 |
2007年比 | 93.23 |
2008年比 | 87.70 |
2009年比 | 85.31 |
となります。
リセールバリューは、おおむね80~90の範囲で推移していることが分かります。売却価格が大幅に減少する懸念はないとしても、売却益を狙いにくく、出口戦略に難ありと言えるでしょう。
中部圏のリセールバリュー
中部圏は、中部経済圏とも言われる、経済的に発展した圏域です。その中心は名古屋であることから、総務省や国交省ではこのエリアを「名古屋大都市圏」と呼称します。
したがって、中部圏も不動産投資の対象に挙げられることが多く、とりわけ名古屋が適しているとされます。
名古屋中心部は、元来経済的に発展していることから不動産投資に適しているだけではなく、2027年開業予定のリニア中央新幹線への期待、それにともなう開発の影響を受け、地価も大きく上昇しています。
2019年の地価上昇率を都道府県別に見てみると、愛知県は全国4位につけています。名古屋が牽引しており、名古屋の一部では渋谷区に迫る水準に達しているほどです。
では、中部圏のリセールバリューを見てみましょう。
2004 | 2005 | 2006 | 2007 | 2008 | 2009 | 2010 | 2011 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | |
新築 | 115.2 | 120.3 | 122.7 | 128.6 | 139.9 | 144.5 | 141.0 | 143.5 | 146.1 | 149.5 | 157.5 | 174.3 | 172.3 | 185.9 | 199.3 |
中古 | 68.1 | 70.3 | 71.4 | 78.8 | 79.9 | 81.2 | 85.7 | 86.6 | 89.9 | 95.6 | 95.9 | 99.4 | 102.6 | 108.3 | 106.3 |
上記の表からリセールバリューを計算すると、
リセールバリュー | |
2004年比 | 82.99 |
2005年比 | 79.72 |
2006年比 | 81.01 |
2007年比 | 79.78 |
2008年比 | 77.41 |
2009年比 | 73.56 |
となります。
中部圏全体で見た場合、リセールバリューが80を下回る局面も多く見られ、売却時に利回りを損なう可能性が高いと考えられます。
首都圏・近畿圏・中部圏を比較したとき、中部圏が最も劣ることが分かります。
沖縄県のリセールバリュー
最後に、沖縄県のリセールバリューを見てみましょう。
沖縄県は、全国的に見て経済発展が遅れており、首都圏・近畿圏・中部圏といった巨大な経済圏と比較すれば、経済的に大きく劣っています。
一般的に、 経済発展が遅れているエリアでは、リセールバリューが低くなるものです。
なぜならば、そのようなエリアでは、平均所得が低い、人口が減少傾向にあるなどの理由から、
- 経済規模と需要が小さく、企業が進出しにくく、商業的な大規模開発が進みにくい
- 就労などのために移住先する人が少なく、新たな賃貸需要が生まれにくい
といったがあるため、不動産の売買価格も低迷するのです。
しかし、沖縄県は観光産業が急速に発達しており、最近では観光客数がハワイに並んだことでも話題になりました。
このため、 リゾート開発をはじめとして、商業的な需要による地価の上昇が続いています。
さらに、ほとんどの都道府県で人口減少が続いている中で、沖縄県は今後も人口増加が見込まれています。
人口の増減は賃貸需要の増減に直結する要素であることから、沖縄県の賃貸需要は堅調に推移することが期待されており、不動産投資の人気が上昇し、地価の上昇につながっています。
このような特殊な背景によって、沖縄県は不動産投資に適したエリアと見られています。このことは、 リセールバリューを見ても明らかです。
沖縄県のリセールバリューを、首都圏・近畿圏・中部圏と同様に分析すると、以下のようになります。
2004 | 2005 | 2006 | 2007 | 2008 | 2009 | 2010 | 2011 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | |
新築 | 133.6 | 117.7 | 131 | 120.6 | 117.8 | 127.5 | 114.1 | 117.4 | 138.9 | 137.4 | 137.1 | 144.6 | 141.2 | 165.2 | 194.4 |
中古 | 84.0 | 81.1 | 80.8 | 90.9 | 90.4 | 86.0 | 93.7 | 78.2 | 110.5 | 121.8 | 113.1 | 111.5 | 122.0 | 159.3 | 157.6 |
リセールバリュー | |
2004年比 | 91.17 |
2005年比 | 96.09 |
2006年比 | 85.11 |
2007年比 | 101.16 |
2008年比 | 135.23 |
2009年比 | 123.61 |
このように、沖縄不動産のリセールバリューは2007年比から100を超えており、特に2008年比、2009年比では100を大きく超過しています。
もし、2009年に5000万円で新築マンションを購入したとすれば、2018年の売却価格は約6180万円になる計算です。
10年間の賃貸経営によって得られた賃料収入のほか、売却益も得られるため、最終的な利回りは大きく向上します。
沖縄不動産は、利回りが低い特徴があるものの、 値下がりしにくく、値上がりも期待できることが強みです。
本稿の冒頭で示したシミュレーションと同条件で見ると、最終的な利回りは年平均で8%弱となり、十分に満足できる利回りと言えるでしょう。
まとめ
本稿では、出口戦略の重要性と、そのために知っておくべきリセールバリューについて解説しました。
実際のデータを元にした検証では、沖縄不動産の強みも分かったと思います。
リセールバリューは10年前の新築価格と最新の中古価格を比較したものであり、将来的なリセールバリューを保証するものではありません。
極論すれば、計算に用いる10年前の新築価格が極端に低く、最新の中古価格が極端に高ければ、リセールバリューも極端に高くなります。
したがって、沖縄不動産が今後も高いリセールバリューを維持するとは言い切れません。
しかし、たとえリセールバリューが将来を保証するものではなくとも、リセールバリューが高い不動産を選ぶべきです。
なぜならば、リセールバリューが高いことは資産価値が高いことを意味しており、価値の下落が起こりにくく、売却価格が大幅に下落する危険が少ないからです。
ぜひ、これから不動産投資に取り組む人は、沖縄不動産を検討してみてはいかがでしょうか。