借地権付きの一般の土地と軍用地、同じ底地でもこんなに違う

土地を所有しているならば、その土地を貸すことによって、借地料を受け取ることができます。

借地権付きの土地を「底地」と言い、日本政府に貸している軍用地も底地に分類されます。

しかし、一般の底地と軍用地では、同じ底地であってもかなり大きな違いがあります。

一般の底地には、厄介な問題が色々あるのに対し、 軍用地にはほとんど問題がなく、むしろ様々なメリットがあるのです。

本稿では、 一般の底地と軍用地の違いについて解説していきます。

土地の権利関係を整理

軍用地投資は、軍に提供する土地を購入し、借地料を受け取るものです。

つまり、土地に投資するという意味では、不動産投資の一種と言えます。

土地といっても、その土地や権利の状態によって、いくつかに区別することができます。

軍用地について正しく理解するためには、 土地の種別や権利の内容を正しく理解していくことが大切です。

土地の種類は大きく分けて、 更地、建付地、底地の三種類に分けることができます。

更地

更地と聞けば、単に土地だけで建物がない状態、つまり空き地のイメージだと思いますが、その通りです。

手を加えられていない土地であり、その土地の所有者の利用を制約する権利もありません。

所有者は、この土地を自由に使うことができます。

建付地

建付地は、建物が建っている土地のことです。

土地と建物の所有者は同じであり、その土地と建物の所有者の利用を制約する権利もありません。

土地と建物をどちらも買ってマイホームを建てた場合、その土地は建付地に分類されます。

底地

底地は、建物が建っている土地であり、なおかつ土地は自分の所有、建物は他人の所有となっている土地のことです。

土地の所有者は、貸し手に土地の理由を認めており、貸し手は借地権(土地を借りる権利)を持っていることになります。

つまり、借地は借り手目線で土地を見た場合であり、底地は貸し手目線で土地を見た場合の表現となります。

軍用地に投資した場合、その土地は日本政府が借り上げて米軍に提供します。

つまり、 軍用地は底地にあたり、 借地権は日本政府にあります。

普通の底地と軍用地の違い

土地をたくさん持っている地主は、一般的に富裕層のイメージがあると思います。

実際、地主は所有している土地を誰かに貸して借地料を受け取っていることも多いです。

しかしこれを、借地料で裕福な生活をしていると見るのは正しくありません。

なぜならば、一般の底地と軍用地では、同じように借地料を期待できる底地でありながら、性質が全く異なるからです。

軍用地投資が借地料で儲かるなら、普通の土地に投資して借地料を儲けてもいいのでは?と考えている人は、普通の底地と軍用地に、以下のような違いがあることを知るべきです。

借地料の問題から比較

一般の底地と軍用地は、同じように底地であり借地料も発生しますが、利回りや安定性にかなりの差があります。

まず、一般の底地では、借地料が安い場合が少なくありません。

これは、土地を貸した当時はそれなりに満足のできる借地料であったとしても、 時間の経過とともに安くなってしまうことが多いからです。

例えば、10年前に土地を貸し付けたとき、当時の路線価から借地料を10万円と設定していたとします。

当時はそれが適正な価格であったとしても、 路線価は変化するものです。

10年後、そのエリアの開発が進んだり、景気の変動によって路線価が高くなっているならば、借地料は相対的に安くなっています。

路線価が高くなれば固定資産税も高くなりますから、その底地の 収益性は大幅に悪化してしまいます。

値上げは困難

借地料が割安になれば、借地料を上げればいいと考える人もいるかもしれませんが、値上げは簡単にはいきません。

借地人からすれば、借地料が安ければ安いほどいいのですから、値上げにはなかなか応じてくれないでしょう。

路線価の推移や固定資産税の負担などを細かく説明しても、応じてもらえない可能性があります。

話が進まなければ、最終的には裁判によって借地料の値上げを請求することになります。

安すぎる状況であれば、値上げは認められる可能性が高いものの、 裁判にはコストも時間もかかることを覚悟しなければなりません。

人間関係や滞納の問題

また、借地人が悪質であれば、借地料を滞納することもあります。

契約の更新でも、更新料は借地料より高額になるため、払えない人が出てきます。

かといって、裁判を起こして強制執行することは容易ではなく、 地主にとっては厄介なことです。

このように、一般の底地では借地人との関係も問題になることがあります。

売却も困難

そんな土地ならば手放してしまいたいと思うでしょうが、底地は借地権の関係から、売却が困難です。

まず、第三者に売る場合には、なかなか買い手が付きません。

なにしろ、借地権付きであるため、土地を買ったところで活用することは難しく、借地料や借地人との関係に手間取る可能性も高いのです。

そのような 不採算な土地を、好きこのんで買う人はほとんどいないでしょう。

そこで、借地人に売ることを考えるのですが、これも良い結果は期待しにくいです。

地主はやむをえず処分しようとしているのですから、足許を見られて借地人になかなか応じてもらえず、結果的に かなり安い値段で売らざるを得なくなることも多いのです。

第三者にも売れず、借地人にも売れず、不動産業者に頼んで買い取ってもらうことも多いのですが、この時の買い値は更地の10~15%が相場であり、やはり買い叩かれてしまいます。

軍用地の優れている点

一般の底地のデメリットを知れば、軍用地の優れているところがよくわかります。

まず、軍用地の借地料は安定しています。

適正な借地料を支払わなければ、地主の反発を受けて米軍基地問題が複雑化する可能性もあります。

そのようなリスクを負うよりも、 日本政府は適正な借地料を、滞納なく支払い続けるのです。

また、日本政府は借地料の値上げも積極的に受け入れています。

実際、年々増額が続いており、借地料は悪化するどころか、むしろ上がり続けています。

さらに、軍用地は底地でありながら、借り手である日本政府以外にも売ることができます。

日本全国の、軍用地投資に興味を持っている 投資家に対して売ることができるため、適正な価格で売れるだけではなく、ニーズの高まりによって 割高で売れる可能性もあります。

もちろん、借り手である日本政府に売却することも可能で、その場合には5000万円を上限として譲渡所得税控除を受けることができます。

ほかにもメリットは色々

上記のように、一般の底地と比較して、軍用地には様々なメリットがあります。

さらに、一般の底地では土地の所有者である地主が管理する必要があるのに対し、軍用地は管理の必要がありません。

借り手である日本政府が大きく管理し、実地では基地を構えている米軍が管理してくれるからです。

そのほか、固定資産税も一般の底地より軍用地のほうが安く、相続の際にも有利な相続税評価を受けられるため、税制面でも優れています。

まとめ

一般の底地は、借地料や借地人との関係、売却など、色々な問題に悩まされることが多いです。

したがって、借地料で儲けたいからと言って、基本的には一般の底地には手を出してはいけません。

そのような土地を買うくらいならば、軍用地に投資したほうがはるかに良い結果になるでしょう。

軍用地は、一般の底地につきまとう様々な問題に悩まされることが一切なく、多くのメリットを享受できるのです。

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