不動産投資で問題となる自然災害リスク。軍用地投資ではどう?
最近の日本では、地震や水害が増えています。
頻度が増えているだけではなく、被害の程度も酷くなっていることから、 投資にあたっては自然災害リスクを考慮しておくことが大切です。
特に、自然災害の影響をダイレクトに受ける不動産投資では、自然災害リスクが命とりになることもあります。
では、軍用地投資の自然災害リスクはどう考えるべきなのでしょうか。
本稿では、 自然災害リスクが不動産投資に与える影響と、軍用地投資の安全性について解説していきます。
目次
自然災害が多い日本では目をそらせないリスク
投資をするにあたって、日本人として欠かすことができない観点があります。
それは、日本は自然災害の多い国だということです。
日本では、台風やそれに伴う大雨・土砂崩れ・洪水、東北以北での大雪などが毎年騒がれるほか、近年では大地震のリスクが高まっています。
筆者の記憶している限りでも、幼少のころに阪神淡路大震災が起こり、大変な騒ぎになったことを覚えています。
その後、北陸や北部九州などで大きな地震があったほか、東日本大震災という世界レベルで大ニュースとなった大地震、そして熊本や北海道での地震など、大きな地震の頻度が急速に増えている感じがあります。
海外の資産に投資するのでなく、日本国内を投資対象とする人がほとんどだと思いますが、それにあたってこの 自然災害から目をそらすことはできません。
自然災害の被害を強く受ける不動産投資は後述するとして、株式投資なども自然災害とは切り離せない投資です。
東日本大震災が起こったとき、株価は大きく下落していますし、大きな被害を受ける会社の株ほど下落率は高くなっています。
また、復興で恩恵を受ける会社の株価は上がるなど、普段とは大きく異なる相場となります。
このため、自然災害のリスクや影響を知っておかなければ、 投資判断を誤る可能性もあります。
不動産投資の2つの自然災害リスクを考える
自然災害リスクと投資の関係を考えるにあたって、最も分かりやすいのは不動産投資でしょう。
株式なども上記のような影響を受けるのですが、不動産投資はよりダイレクトな影響を受けます。
具体的に考えておくべきリスクは、 地震と水害のリスクです。
地震のリスク
自然災害の被害を受けたとき、その程度によっては、投資していた不動産が半壊・全壊などの結果に至ることがあります。
特に、東日本大震災や熊本地震のニュース映像などからもよくわかる通り、不動産がぐしゃぐしゃにつぶれてしまうこともあります。
地震大国日本では、新耐震基準を設けるなどして、地震への対策を進めてきました。
これは、建築基準法における耐震基準であり、新耐震基準へと改正されたのは1981年のことです。
したがって、不動産投資の指南書を読むと、 新耐震基準に適合していない物件は買うべきではないと解説されているのが普通です。
これは、地震へのリスクに対応すると同時に、新耐震基準でない物件は買い手がつきにくいため、売却も見据えて新耐震基準の物件を買うべきということです。
しかし、新耐震基準ならば安全かと言えば、そうとも言い切れないでしょう。
確かに、新耐震基準の物件で、しかもRC造の物件であれば、大地震でもあまり被害を受けないことが多いです。
これは、東日本大震災後の保険会社の調査結果などからも明らかになっています。
とはいえ、建物の強度さえあれば、地震リスクに耐えられるとは限りません。
なぜならば、地震の揺れによって建物が壊れなかったとしても、埋立地などで液状化現象が発生したり、傾斜地で地盤が崩れたり、沿岸部で津波の被害を受けたり、 地震の延長で起こる火災の被害を受けたりすることもあるからです。
新しく開発されて人気の高まっている地域で、不動産投資をしたら儲かりそうだと考えている人もいるかもしれません。
しかし、そのような地域では、 もともと沼や池だった場所を埋め立てて開発していることもあり、当然ながら地震によるリスクは高まります。
地震リスクへの備え
地震リスクに備えるためには、建物の強度だけではなく、全体的な立地で安全かどうかをしっかり確認する必要があります。
また、 地震保険に加入することも大切でしょう。
ただし、地震保険は掛け金が高いだけではなく、補償の上限が建物に5000万円、家財に1000万円と決められています。
満額の補償を受けられないこともあるため、保険で十分なリスクヘッジになるとは言い切れません。
水害のリスク
地震以外にも、水害リスクに備えおく必要があります。
地震のリスクが高まっていることが注目されがちですが、近年では大規模な水害が起こることが増えています。
2015年に鬼怒川が氾濫したことや、2018年7月の集中豪雨によって広島・岡山を中心に多くの被害を出したことが良い例でしょう。
水害と言えば、川が氾濫して洪水となって被害を受けるイメージがありますが、それ以外にも 土砂災害が大きな被害をもたらします。
これは、山から雪崩れる土石流であり、川から離れているエリアでも被害を受ける可能性が十分にあります。
水害リスクへの備え
水害リスクに備える際にも、物件周辺の状況をよく確認することが大切です。
物件周辺の状況を調べ、川や池などから離れていること、山から離れていることはもちろん、一見問題なさそうなエリアでも、潜在的な水害リスクを把握することが重要です。
例えば、川からも山からも離れている都市部でも、暗渠の可能性があります。
暗渠とは、川地下に水路がある土地のことであり、見た目では問題なくとも水害リスクが高くなります。
水害リスクを正しく把握するためには、 国土交通省のホームページでハザードマップを参考にするのが良いでしょう。
ハザードマップを見れば、エリアごとの水害リスクを詳しく知ることができます。
自然災害に弱い不動産投資
地震や水害などのリスクが高まっている日本だからこそ、不動産投資の際にはリスクに備える必要があります。
利益の出る不動産に投資するためには、様々なことを調査しなければなりません。
- そのエリアが商業的にどうであるか
- 駅からの距離はどうか
- 治安はどうか
- 大学に移転の予定はないか
- 今後の人口動態はどうか
- 周辺に宗教施設や暴力団事務所などはないか
など、空室リスクに備えるために色々な調査を実施します。
そのうえでさらに、自然災害のリスクにも備えていく必要があります。
このように、不動産投資は投資先を慎重に決めていきます。
なぜならば、不動産は他の資産と異なり、「動かすことができない」という大きなデメリットを抱えているからです。
保有資産が株や外貨、金などであれば、容易に動かすことができます。
投資判断を誤った、リスクが高まっているといった状況でも、すぐに売却して現金に移し替えたり、他の株式に乗り換えたりすることができます。
しかし、不動産は容易に動かせない資産です。
実際に自然災害などの被害にあったとき、物理的に動かすことができないのはもちろんですが、投資判断を誤った、リスクが高まっているといった場合にも、 そのような不動産は買い手が見つからずに苦労する可能性が高いです。
自然災害をはじめとした色々なリスクがあり、簡単に引き返せないことが、不動産投資の難しいところだと言えます。
軍用地投資はローリスク
ただし、一般的な不動産投資とは異なり、軍用地投資には自然災害リスクがありません。
沖縄も日本であり、台風の影響も受ける土地柄ですから、自然災害リスクがゼロといえば言い過ぎかもしれません。
それでも、地震や大水害の被害に遭うリスクは、低いとされています。
そもそも、なぜ米軍が沖縄に基地を構えているのかを考えてみると、自然災害リスクの低さが分かります。
もし、沖縄が自然災害リスクの高いエリアであれば、米軍の基地運営に支障をきたします。
自然災害の被害が起こったとき、軍隊は救援を求めるのではなく、救援に出動すべき立場です。
そのため、自然災害のリスクが低いエリアに基地を構え、自然災害によって基地運営に支障がないようにしなければなりません。
このことから、 米軍が長期にわたって沖縄に基地を構えている事実を以て、沖縄の自然災害リスクが低いことが分かります。
台風が多いことは事実ですが、それは基地運営に問題があるレベルではなく、軍用地投資にも何ら問題ないと考えるのが妥当です。
もし、大きな自然災害が起こったとしても、あまり問題にはなりません。
なぜならば、日本政府が借り上げて米軍に提供している軍用地は、米軍が建物や訓練場を敷設し、基地全体を米軍の責任で管理しているからです。
一般の不動産投資では、オーナーや管理会社が管理しなければなりませんが、軍用地は米軍が管理してくれるのです。
これも、自然災害リスクへの十分な備えになると言えるでしょう。
まとめ
一般的な不動産投資をはじめ、その他の投資においても、自然災害のリスクは決して無視できない要素です。
自然災害によって市場が左右されたり、不動産などの資産が直接被害を受けてしまう可能性もあります。
そのため、自然災害リスクにも備えつつ、慎重に投資していくことが重要となります。
しかし、軍用地投資には自然災害リスクがほぼありません。
沖縄は自然災害リスクが低く、土地を管理してくれるのが米軍であることから、自然災害リスクを考える必要がないのです。
自然災害の多い日本だからこそ、自然災害リスクが低い安全な投資先として、軍用地を検討してみてはいかがでしょうか。