沖縄不動産を高値掴みしてしまったら?二通りの対処法でカバーをしよう

 

近年の沖縄県では、地価がかなり上昇しています。これに伴い、物件の取得価格も高くなっています。

このため、「購入した後に値下がりしたら危ないのでは?」、「上昇率が高いだけに、一旦下落を始めると大きな損失になるのではないか?」などと考える人も多いと思います。

本稿では、 沖縄不動産を高値掴みした場合の対処について解説していきます。

 

沖縄不動産は高騰している!価格を予測するには?

 

沖縄県の地価や不動産価格が、ここ数年で大きく上昇していることについて、当サイトでたびたび触れてきました。

実際、沖縄県内における地価平均は、 平成30年データで10万5272円/㎡となっています。

これは、 全国で12番目に高い価格であり、前年比での上昇率は6.74%で全国第4位となっています。

 

当然、不動産価格も上昇していきます。最近の琉球新報でも、沖縄の地価や不動産価格が急上昇していることについて、

「全国から沖縄に乗り出してきている。5年前に3千万円程度だった物件が、今では5千万円になっている」

という、知念聡氏(県宅地建物取引業協会会長)のコメントを紹介していました。

このようなコメントを見ると、これから沖縄不動産投資を始めたら物件を高値掴みするのではないかと心配になる人もいると思います。

 

価格の正確な予測は一流の経済学者でも不可能

しかし、高値掴みするのではないかと思っても、今後の値動きがどうなっていくかを予測することはできません。

高値掴みを確実に避けるには、現在の価格が高値圏ならば買わない、高値圏でなければ買うという判断が必要となりますが、そのような判断は不可能です。

一流の経済学者でも、土地や不動産、株などの将来を予測することはできませんし、これだけAI技術が発達しても予測できないのですから、個人投資家が予測してもあまり意味はないのです。

 

もちろん、利益を得られると予測するからこそ投資するのですから、予測そのものを排除することはできません。

しかし、これからの不動産価格がどうなっていくかといった不確かな予測によって、

  • 「今後も値上がりすると思う。だから買う」
  • 「今買うと高値掴みする。だから買わない」

などと判断するのではなく、

「常識的に考えて、今後も上昇が続くと思う。しかしそうならないかもしれないから、下落したときにはこうする」

というように、予測が外れた場合に備えて考えることが大切なのです。

 

したがって、沖縄不動産投資を始めたものの、その後物件価格が大幅に下落してしまった場合にどうなるのかを知り、あらかじめ対処を考えておくことが大切です。

 

物件価格が下がった場合の二通りの対処方法

 

物件価格の下落に対処するためには、何がどう影響したことで物件価格が下がっているのかを知る必要があります。

それを知れば、原因と影響を織り込んだ収支シミュレーションによって、損失を回避する計画を立てることもできるのです。

 

物件価格が上昇する主な理由には、

  • 物件の収益性が上がった(人口増加、賃貸需要増加、家賃上昇、高稼働率など)
  • 物件の地価が上がった(土地投機、新築件数増加、経済成長など)

などが挙げられます。

 

逆に、物件価格が下落する主な理由は、

  • 物件の収益性が下がった(人口減少、競争激化、賃貸需要減少、家賃下落、稼働率低下など)
  • 物件の地価が下がった(新築件数減少、経済成長の鈍化、土地投機の鎮静化など)

と考えることができます。

 

したがって、物件価格が下がった場合には、単に評価損が出るというだけではなく、賃貸需要が減少して稼働率が下がったこと、空室対策のために家賃が下がったこと、地価が下がったことなども考慮し、対処を考える必要があります。

 

もっとも、対処には二通りしかありません。

それは、

  • 早めに売却して損切りする
  • インカムゲインでカバーする

という方法です。

 

早めに売却して損切りする

損切りとは、損失が発生し、なおかつ今後も損失が膨らみそうだと思った場合に、できるだけ早い段階で売却して損失を限定することです。

不動産投資でも、物件の選定を誤り、もともと収益性の低い物件を購入してしまった場合には、損切りすることがあります。

その物件を 長期にわたって保有し続けたところで、収益性が低いためにインカムゲインでカバーすることができないからです。

 

沖縄不動産投資には色々なメリットがあるものの、簡単に儲かると考えて安易に投資すれば、収益性の低い物件を買ってしまう可能性があります。

もし、収益性が低い物件を買ってしまい、なおかつ物件価格も下がってしまった場合には、損切りを検討する必要があるでしょう。

 

インカムゲインでカバーする

一方、収益性が高い物件を購入したものの、物件価格が下がってしまった場合には、当初の予定よりも長期の投資に計画を変更するなどして、インカムゲインでカバーすることを考えます。

物件価格が下がっても、その物件に入居者を獲得でき、賃料収入を得られるポテンシャルがあるならば、インカムゲインによって下落分をカバーできるのです。

 

物件価格下落の収支シミュレーション

 

では、具体的なシミュレーションをしてみましょう。

例えば、5年間で3000万円から5000万円に値上がりした物件を購入したところ、その後の5年間で物件価格が徐々に下がり、3000万円まで下落してしまった場合を考えます。

 

条件は、以下の通りに設定します。

【購入当初:2018年】

  • 物件価格:5000万円(諸経費7%:350万円)
  • 地価→2125万円(250㎡と仮定。沖縄県平均の2018年の公示地価[宅地]:85000円/㎡)
  • 借入総額:3500万円(頭金3割)
  • 借入期間:25年
  • 借入金利:2%
  • 年間賃料収入:350万円(表面利回り7%)
  • 稼働率:95%(2017年の沖縄県の主要都市平均)
  • 年間の経費率:20%

当初は5年後の売却を見据えていたものの、5年間で徐々に価格が下落していきます。

これに伴い、地価や家賃も下落すると考えてよいでしょう。

なお、5年後の水準は、同じく物件価格が3000万円であった2013年のデータに合わせています。

 

【5年間の推移】

  • 物件価格:5000万円から3000万円へ、年率11.99%の下落
  • 地価→2125万円から1820万円(沖縄県平均の2013年の公示地価:72800円/㎡)へ、年率3.8%の下落
  • 年間賃料収入:350万円から313万2500円(下落率10.5%。2013年の沖縄県の平均的な家賃水準。表面利回り6.3%)へ、年率2.74%の下落
  • 稼働率:95%から92%(2013年の沖縄県の主要都市平均)へ、年率0.8%の下落
  • 年間の経費率:24%(経年と稼働率低下を考慮)

 

当初の計画では、5年後に売却の予定です。

物件価格や地価、家賃の下落などが起こらず、購入価格で売却できた場合には、以下のようになります。

期間 年間家賃 変動率 支出 経費率 収支 ローン返済 税引前CF
1年目 3,500,000 0.00% 700,000 20.00% 2,800,000 1,792,715 1,007,285
2年目 3,500,000 0.00% 00,000 20.00% 2,800,000 1,792,715 1,007,285
3年目 3,500,000 0.00% 700,000 20.00% 2,800,000 1,792,715 1,007,285
4年目 3,500,000 0.00% 700,000 20.00% 2,800,000 1,792,715 1,007,285
5年目 3,500,000 0.00% 700,000 20.00% 2,800,000 1,792,715 1,007,285

5年目まで物件価格が維持されるため、物件の評価損は出ません。ここまでに蓄積されているインカムゲインは503万6425円、ローン残債は2931万3465円です。

 

5000万円で売ることができれば、当初の自己資金である自己資金1850万円を回収し、ローン残債も全て支払ったうえで、722万2960円の利益が残ります。

自己資金 年間CF 合計CF ローン残債 売却価格 最終損益
18,500,000 1,007,285 5,036,425 29,313,465 50,000,000 7,222,960

 

 

しかし、5年間で物件価格は3000万円へ下落、それに伴って地価や賃料の下落も織り込んだ場合には、5年後の結果は以下のようになります。

期間 年間家賃 変動率 支出 経費率 収支 ローン返済 税引前CF
1年目 3,500,000 0.00% 700,000 20.00% 2,800,000 1,792,715 1,007,285
2年目 3,404,100 -2.74% 714,861 21.00% 2,689,239 1,792,715 896,524
3年目 3,310,828 -2.74% 728,382 22.00% 2,582,446 1,792,715 789,730
4年目 3,220,111 -2.74% 740,626 23.00% 2,479,485 1,792,715 686,770
5年目 3,131,880 -2.74% 751,651 24.00% 2,380,229 1,792,715 587,513

 

この時、評価損2000万円が発生しているほか、ここまでに蓄積されたインカムゲインは396万7822円に減っています。したがって、この時3000万円で売却した場合には、

自己資金 合計CF ローン残債 売却価格 最終損益
18,500,000 3,967,822 29,313,465 30,000,000 -13,845,643

となり、大幅な赤字となってしまいます。

 

 

そこで、このような物件価格の下落、それに伴う地価や家賃の下落も考慮したうえで、インカムゲインでカバーする流れを考えるならば、以下のようになります(これ以上の下落はないものとします)。

期間 年間家賃 変動率 支出 経費率 収支 ローン返済 税引前CF CF総額 最終損益
1年目 3,500,000 0.00% 700,000 20.00% 2,800,000 1,792,715 1,007,285 1,007,285
2年目 3,404,100 -2.74% 714,861 21.00% 2,689,239 1,792,715 896,524 1,903,808
3年目 3,310,828 -2.74% 728,382 22.00% 2,582,446 1,792,715 789,730 2,693,539
4年目 3,220,111 -2.74% 740,626 23.00% 2,479,485 1,792,715 686,770 3,380,309
5年目 3,131,880 -2.74% 751,651 24.00% 2,380,229 1,792,715 587,513 3,967,822 -13,845,643
6年目 3,131,880 0.00% 751,651 24.00% 2,380,229 1,792,715 587,513 4,555,335 -12,051,684
7年目 3,131,880 0.00% 751,651 24.00% 2,380,229 1,792,715 587,513 5,142,849 -10,233,596
8年目 3,131,880 0.00% 751,651 24.00% 2,380,229 1,792,715 587,513 5,730,362 -8,390,896
9年目 3,131,880 0.00% 751,651 24.00% 2,380,229 1,792,715 587,513 6,317,876 -6,523,092
10年目 3,131,880 0.00% 751,651 24.00% 2,380,229 1,792,715 587,513 6,905,389 -4,629,683
11年目 3,131,880 0.00% 751,651 24.00% 2,380,229 1,792,715 587,513 7,492,903 -2,710,155
12年目 3,131,880 0.00% 751,651 24.00% 2,380,229 1,792,715 587,513 8,080,416 -763,988
13年目 3,131,880 0.00% 751,651 24.00% 2,380,229 1,792,715 587,513 8,667,929 1,209,353
14年目 3,131,880 0.00% 751,651 24.00% 2,380,229 1,792,715 587,513 9,255,443 3,210,410
15年目 3,131,880 0.00% 751,651 24.00% 2,380,229 1,792,715 587,513 9,842,956 5,239,738

この表のように、物件価格が下がって評価損が出た場合にも、5年で売るという当初の計画を変更して、長期投資にシフトすることによって、インカムゲインでカバーすることができます。

13年目には損失はカバーされており、プラスに転じていることが分かります。

3000万円で売却すれば、自己資金を回収し、ローンの残債も全て返済し、インカムゲインの蓄積によって120万9353円の手残りとなります。

それ以降は、ローンの残債は減少し、インカムゲインの蓄積は増えていくため、ここで売らずにしばらく持ち続けるという選択も可能です。

 

もっとも、この後も物件価格が下落する可能性がないわけではありません。

しかし、5000万円から3000万円へ、沖縄不動産投資があまり盛り上がっていなかった2013年水準へと下落しているのですから、適正水準にかなり近づいていると考えてよいでしょう。それ以上に下落するよりも、この水準を保つ可能性が高いです。

 

また、沖縄の長期的な人口増加や経済成長から考えれば、再び値上がりする可能性も十分にあるでしょう。

もちろん、長期投資にシフトしてインカムゲインでカバーするならば、その期間も銀行に返済し続ける必要があります。

長期投資へのシフトは、長期にわたって冷え込んだ市場を生き抜くということですから、 購入段階である程度の表面利回りを確保したり、賃貸需要を見込めるエリアをしっかりと選んだりすることが大切です。

 

まとめ

流動性重要

あくまでも、本稿のシミュレーションは、かなり悪い状況を想定しているものです。

沖縄不動産市場は、今後も地価や家賃、物件価格の上昇が見込まれており、このシミュレーションのような結果が想定されるとすれば、おそらくこのような活況にはなっていないでしょう。

もし、非常に悪い状況になったとしても、長期投資にシフトすることでインカムゲインでカバーすることができます。

今後も沖縄不動産投資は有望であり、計画さえしっかりしていれば万が一の下落にも耐えられることを理解してもらえればと思います。

 

 

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