沖縄で単身者向け物件に投資するなら、ユニットバス?バス・トイレ別?

沖縄県は、他の都道府県と異なる特性が多く、これが不動産投資に与える影響も大きいです。

駐車場のニーズの高さ、駐輪場のニーズの低さなどが顕著な例ですが、このほかにも設備について、知っておくべきことは色々あります。

沖縄不動産に限らず、単身者向け物件への投資では、ユニットバスの物件を選ぶべきか、バス・トイレ別の物件を選ぶべきかという問題があります。

しかし、沖縄では他の都道府県より、ユニットバス/バス・トイレ別の重要性が高いです。

本稿では、沖縄不動産におけるバス・トイレ別へのニーズと、投資への活かし方を解説します。

単身者世帯が増加している

近年、単身者世帯が増加傾向にあります。

これは、晩婚化が進んだり、離婚率が高まったりしていることが原因です。

このため、 不動産投資でも、ファミリー向け物件より単身者向け物件のほうが有利だと考える人は多いと思います。

もちろん、ファミリー物件にも大きなメリットがあります。

特に大きなメリットは、子供を抱える家族世帯が入居した場合、子供の学区の問題などを理由として、長期間の入居が期待できることです。

一方、単身者向け物件は、ファミリー向け物件に比べて専有面積当たりの賃料収入が高いという特徴があり、利回りにおいてはそれぞれ一長一短と言えるでしょう。

また、日本の人口と世帯数は減少傾向にあります。

これは、賃貸需要の減退を意味していますが、そのような環境で不動産投資に成功するためには、

できるだけ賃貸需要が見込める層をターゲットにすることが必要であり、増加傾向にある単身者がターゲットになる、単身者向け物件の優位性が高まっています。

沖縄不動産投資に取り組むにあたっても、単身者向け物件への投資を考える人は多いと思います。

投資する物件を選ぶにあたって、立地を考慮するのは当然ですが、それに加えて気になるのが設備です。

賃貸物件の設備は様々ですが、特定の設備の有無によって入居率が大きく左右されることも多いものです。

中でも、単身者向け物件で、特に議論の対象となりやすいのが、「ユニットバスの物件か?バス・トイレ別の物件か?」という問題です。

全国的には問題にならないことも多い

一般的に、バス・トイレ別の物件はニーズが高いと言われており、付加価値戦略として、ユニットバスからバス・トイレ別へと変更する不動産投資家もいます。

実際に、そのような設備の変更によって、入居率の改善や賃料アップにつながるケースは珍しくありません。

しかし、バス・トイレ別という設備は、それがないからといって入居率にそれほど悪影響を与えないことも多く、それほど付加価値が高いとも考えられていないようです。

このことは、全国賃貸住宅新聞の最新(2019年版)の人気設備ランキングを見ても、バス・トイレ別がランクインしていないことからも分かります。

全国的にみれば、ユニットバス形式の物件が、バス・トイレ別の物件よりも大きく劣るとはいえず、実際に「ユニットバスの物件でも、十分な賃貸需要が見込める」と考えるベテラン投資家も少なくありません。

沖縄では重要な設備

しかし、沖縄不動産に限ってみた場合、バス・トイレ別のニーズは極めて高いものがあります。

このことは、おきぎん経済研究所のレポートからも明らかです。

おきぎん経済研究所が毎年公表している「おきぎん賃料動向ネットワーク調査」は、沖縄県内の不動産業者へのヒアリングを元にしており、かなりリアルな動向を知ることができます。

このレポートの中で、人気の設備(無いと物件の人気が下がる設備)の筆頭に「バス・トイレ別」が挙げられています。

最新(2018年)のレポートでは、人気設備に関する64件の回答のうち、バス・トイレ別が11件となっています。これは、駐車場2台(8件)、駐車場1台(8件)より多い件数です。

設備 2018年
回答数 シェア
バス・トイレ別 11 17.2%
駐車場2台 8 12.5%
エアコン 11 17.2%
室内洗濯場 7 10.9%
インターネット対応 11 17.2%
駐車場1台 8 12.5%
ペット可 2 3.1%
オートロック 3 4.7%
収納 1 1.6%
ガス乾燥機 1 1.6%
エレベーター 1 1.6%
合計 64 100%

鉄道路線がほとんどない沖縄では、交通手段といえば自動車であり、駐車場の重要性は極めて高いです。

しかし、バス・トイレ別は駐車場以上にニーズが高いことに注目すべきです。

実際、沖縄の不動産業者のブログ記事などを見てみても、

「希望条件の中でも、バス・トイレ別に真っ先にチェックを入れる人が多いです」

との意見が見られることから、バス・トイレ別の重要性がよくわかります。

ユニットバスは減少傾向

もちろん、沖縄不動産の賃貸情報を見てみると、ユニットバスの物件もたくさんあります。

しかし、ユニットバスの物件は確実に減少傾向にあります。

この傾向を具体的に把握するために、沖縄県最大手の不動産情報サイトである「うちなーらいふ」を使って、ユニットバスの物件とバス・トイレ別の物件では、の比率を、築年数で分類してみました(1Rまたは1Kの単身者向け物件に限定。2019年11月18日の情報から)。

その結果、以下のようになりました。

築年数 ユニットバス バス・トイレ別 比率
指定なし 1723件 2679件 1.55倍
10年以内 700件 1626件 2.32倍
5年以内 457件 1188件 2.60倍
3年以内 342件 972件 2.84倍
新築 195件 598件 3.07倍

築年数を指定せずに検索すると、ユニットバスの単身者向け物件は1723件、バス・トイレ別の単身者向け物件は2679件となっており、ユニットバスの物件も多く流通していることが分かります。

ところが、築年数を指定して検索してみると、築年数が浅い物件ほど、バス・トイレ別の物件の比率が顕著に高まっていることが分かります。

これは、とりもなおさず、バス・トイレ別のニーズが高く、それを標準設備とする物件が増えていることを表しています。

この傾向は、ユニットバスの物件と、バス・トイレ別の物件の比率を見れば一層明確です。

ユニットバスの物件に対するバス・トイレ別の物件の掲載数を比較すると、築年数が浅くなるほど比率は高まり、バス・トイレ別の割合が加速度的に増えていることが分かります。

今後もこの傾向は続くと考えられます。ユニットバスの物件が減り、バス・トイレ別の物件が増えていけば、バス・トイレ別を標準設備と考える入居者が増え、ユニットバスの物件の競争力は大きく下がるはずです。

もし、単身者向けの沖縄不動産を検討しているならば、ユニットバスの物件を避けたほうが無難でしょう。

また、好条件を備えている物件がユニットバスであるならば、

  • ユニットバスでも賃貸需要が見込めるか、周辺エリアをリサーチしてみる
  • バス・トイレ別に変更しても採算性を確保できるか、収支をシミュレーションしてみる

などの検討も重要です。

これらの検討も、「沖縄不動産では、バス・トイレ別が重要」という視点が出発点になっているため、

沖縄不動産投資では、ユニットバスであるか、バス・トイレ別であるかを見落とさないようにしましょう。

まとめ

単身者向け物件への投資を検討する際、ユニットバスの物件も対象に挙げられることがしばしばです。

全国的には、ユニットバスの物件でも十分な賃貸需要が見込めるケースが珍しくありません。

しかし、本稿で見てきた通り、沖縄ではユニットバスが敬遠されています。

このことは、ユニットバスの減少傾向からも明らかです。

これから沖縄不動産投資を始めるならば、この点には留意しておくべきでしょう。

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